J1開幕直前、上位陣の新戦力通信簿! 浦和リカルド・チルドレンは大当たり。神戸、鹿島も順応性の高い即戦力が台頭

2022年02月16日 元川悦子

川崎の新戦力はチームスタイルへの適応が課題か

今季の新戦力のパフォーマンスはいかに。写真は左からチャナティップ(川崎)、岩尾(浦和)、槙野(神戸)。写真:サッカーダイジェスト

 2022年Jリーグ開幕がいよいよ18日に迫ってきた。今季は王者・川崎フロンターレのリーグ3連覇が叶うか否かが最大の注目点と言われるが、12日の富士フィルム・スーパーカップの戦いぶりを見ると、やや雲行きは怪しそうだ。逆に勝利した浦和レッズや昨季2位の横浜F・マリノスらライバル勢が猛追する可能性もありそうだ。

 そんな上位陣候補のカギを握るのが、新加入選手の動向だ。現時点で各クラブの新戦力がどのような状況なのか。それを分析・検証してみることにする。
 
 まず川崎だが、今季は8人の新顔が加わったものの、即戦力と目されるのはチャナティップと瀬古樹のふたり。特にコンサドーレ札幌時代にJ1・115試合出場14ゴールの実績を持つチャナティップには期待が高かった。

 だが、左サイドハーフで先発し、後半からインサイドハーフに移動した浦和戦ではいずれのポジションでもフィットしきれていない様子。「チームメートを見すぎて相手を見られなかった」と本人も反省したように、連係面に課題があるようだ。

 アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)組の川崎は開幕から連戦が続くため、彼が実戦の中で周囲と意思疎通を図る時間は大いにある。それを有効活用し、本来の持ち味を発揮できるようになれば攻撃の起爆剤としての役割も果たせるはず。中盤の一角を占める瀬古も同様で、川崎のリズムにいち早く自身を適応させられるかが今後のポイントと言える。

 その王者を撃破した浦和は今季12人もの補強を遂行。鹿島アントラーズ時代にACL制覇を経験した犬飼智也、アカデミー出身の松尾佑介らが名を連ねる中、リカルド・ロドリゲス監督と徳島ヴォルティス時代に共闘した岩尾憲と馬渡和彰の存在感が大きい。

 とりわけ、異彩を放つのが岩尾。川崎戦では柴戸海とダブルボランチで先発し、中盤を的確にコントロール。後半からは伊藤敦樹を含めた3ボランチにシフトし、相手のトライアングルを封じた。柴戸のデュエル、伊藤のチャンスメーク力がより一層発揮できたのも、岩尾の頭脳的なプレーに後押しされたから。「3人の距離感を大事にした。自分にとって大きな勝利だった」と話すように、彼は新天地で順調な一歩を踏み出したと言っていい。

 馬渡も守備の強度、攻撃参加、プレースキックの精度を前面に押し出し、川崎撃破に貢献。今季の浦和は宇賀神友弥(岐阜)、山中亮輔(C大阪)という2人が移籍した分、彼に託されるものが大きかった。馬渡の起用にメドがつけば明本孝浩を恒常的に前線で使える。その見通しが立ったことも収穫。彼らはこの先も軸を担っていくと見られる。

【画像】2022 J1リーグ各チームの開幕予想布陣!

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