「全てが速すぎて…」チェイス・アンリを混乱に陥れた国内組合宿。高校No.1DFが痛感した日本代表のスピード

2022年01月30日 安藤隆人

トレーニングパートナーとして5日間にわたる合宿に参加。ゲーム形式では混乱ぶりが伝わる内容に

 現在、カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選を戦う日本代表。海外組を含めた最終予選メンバーの発表前に、国内の若手とベテランを一斉に招集して行なわれた日本代表候補合宿があった。長友佑都、酒井宏樹、大迫勇也などはA代表の常連であり、主軸に加え、荒木遼太郎、鈴木唯人ら若い世代も名を連ねて注目を集めた。

 その中で一際目立つ存在がいた。トレーニングパートナーとして参加をした尚志高3年のチェイス・アンリだ。アメリカ人の父と日本人の母を持つ彼は、先の選手権では大会ナンバーワンCBとして大きな注目を浴びた。進路は未定だが、海外も噂されるなど注目度は相変わらず高い。
【画像】森保ジャパン、国内組合宿の招集メンバーの顔ぶれは?
 そんな彼が日本代表のメンバーに加わって5日間に渡る合宿に参加をしたのだが、この時間は彼にとって非常に意義があり、同時にトッププロのレベルの高さ、厳しさをまざまざと感じさせるものであった。

 パススピード、寄せのスピード、判断のスピード。あらゆるスピードのレベルが違った。2日目には9vs9プラスフリーマン2人のポゼッションゲームを行なったが、ビルドアップのスタートとなるGK権田修一からパスをもらってもなかなか前が向けない。周りから横パスやバックパスが来てもトラップをしているうちにあっという間に寄せられてしまい、窮して強引に縦パスを送っても、たちまちインターセプトに遭ってしまう。フィードや縦パスを得意とする彼が、思うように持ち味を出せない状況に陥ったのだ。対人の面でも食いつかなくていいところで食いついてしまい、身体でブロックされながらターンされるなど、攻守において彼は苦しんだ。

 さらにゲーム中にそれまでは静かだった森保一監督が「もっとパススピード、プレッシングスピードや切り替えを速く、強度を高くするように!」と大きな指示が飛ぶと、グリッド内の熱は上昇。より激しいプレスとスピードが上がったワンタッチパスの応酬で、チェイスが混乱していくのが手に取るように分かった。
 

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