稲本潤一、今野泰幸、関口訓充が続々入団! 南葛SCはなぜ地域リーグでは異例の大型補強を行なったのか?――移籍交渉をしたGMを直撃!

2022年01月30日 伊藤 亮

リアル南葛SC・岩本義弘GMが明かす2022年の補強ポイントと近未来のクラブ戦略【前編】

南葛SCの岩本義弘GM。今冬の移籍市場で稲本、今野ら元日本代表の大物選手を次々に獲得した。写真:滝川敏之

 2021年12月25日。関東リーグ1部昇格を懸けた入替戦。『キャプテン翼』の原作者・高橋陽一先生が代表を務める南葛SCは桐蔭横浜大学FCを4-1で下し昇格を決めた。関東リーグ2部、1部と2年連続の昇格。まるでマンガのような快進撃に関係者は沸いた。

 しかし、岩本義弘GMはこの結果に立ち止まることなく、既に来シーズンへのチーム補強に動き出していた。見据えるはハイレベルな強豪チームが揃う関東リーグ1部、そしてその先のJFL昇格だ。

 積極交渉で次々とビッグネームの獲得が話題となったが、その舞台裏とは――。
 

「昇格するためには2カテゴリ上の実力が必要という望月さん理論からすると、今シーズンはJ3レベルが必要ですからね」

 これは、岩本義弘GMが新シーズンへの補強に関して代表の高橋陽一先生に相談していた時に受け取ったメッセージだ。文中に出てくる「望月さん」とは南葛SCと業務提携を結んでいたSC相模原の望月重良代表のことである。

「SC相模原が今の南葛SCと同じように、過去県リーグからJリーグ入りを果たしていく過程の話を、高橋先生と望月さんは以前からよくしていました。その中で最も印象に残っているアドバイスのひとつなんだと思います」

 この冬、南葛SCは移籍話で話題を振りまいた。最終的に入団は叶わなかったものの三浦知良を筆頭に、入団が決定した関口訓充、稲本潤一、そして今野泰幸。言わずと知れた日本サッカー界の顔が、続々と南葛SCと入団交渉の席に着いた。

 2021年12月25日。関東リーグ1部昇格を懸けた入替戦で、桐蔭横浜大学FCを4-1で下した南葛SCは目標だったリーグ昇格を果たした。これで2年連続昇格。世界で人気のマンガ『キャプテン翼』にまつわるチームが、Jリーグを目指し快進撃を続けることに夢を感じるのか――有力な、そして有名な選手が次々と集まってくる。

「いったいどれだけの資金を投じているんだ、と思われるかもしれませんが、じつは報酬ベースはほとんど変えていないんです。もちろん代表歴や知名度、これまでの年棒などを考慮している部分はありますが、極端に額を上げているわけではありません。むしろ、選手の方から南葛SCに興味を抱いてくれるケースの方が多い。今名前が挙がった選手に限らず、アプローチした選手への交渉が成功する確率が、これまでより上がっている感覚は確実にあります」
 三浦知良に関しては、移籍の可能性が見えた時点で即オファー。昨年12月21日には高橋先生自ら自主トレ先の大阪に向かった。

「高橋先生本人が大阪へ日帰りで行ってもらって誠意を感じてもらえたと思います。結局断られたのですが、本人からすごく丁寧な電話をいただきました。本人からの言葉ではないですが、プレゼンの評価も最も高かったと。実際、他にオファーしていたクラブが断られる中、ギリギリまで連絡が来なかったので評価はしていただけたかと感じています」

 日本サッカーのレジェンドまで入団を検討してもらえる。それだけで南葛SCというクラブの価値が窺える。さらに関東リーグ1部昇格を果たしたことで、南葛SCへの関心は「カテゴリに比例してではなく、指数関数的に上がってきていると感じる」というのが岩本GMの肌感覚だ。

 そこに冒頭の高橋先生の言葉。J3で戦えるレベルを本気で揃えようと考えれば、現状をフルに活用しない手はない。
 

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