昨年の世代別代表“全敗劇”はなにをもたらしたか――新潟での「U-17&18合同合宿」が意味するもの

2015年07月22日 安藤隆人

年代間スタッフのより緊密なフィードバック体制を構築。

7月18日から20日かけて行なわれた新潟国際ユースサッカーで優勝したU-17日本代表。同じ場所で合宿をしていたU-18代表の存在も刺激に。

 昨年秋、日本サッカーはふたつの年代別ワールドカップの出場権を逃している。
 
U-16アジア選手権・準々決勝:日本 0-2 韓国
U-19アジア選手権・準々決勝:日本 1(PK4-5)1 北朝鮮
 
 このふたつの敗戦により、日本は今年5月にニュージーランドで行なわれたU-20ワールドカップと、10月にチリで開催されるU-17ワールドカップに出場できず、2世代の代表が揃って世界でガチンコ勝負をする機会を失った。
 
 とりわけ、U-19日本代表は実に4大会連続で出場権を逃しており、この足かけ7年に及ぶ大きな損失は、昨年の2世代同時敗退というショッキングな事態(U-21代表のアジア大会、A代表のアジアカップを含めれば、4世代が準々決勝敗退)で、ようやく強烈な危機感を日本サッカー界に与えるに至った。
 
 正直、"ようやく"な感は否めない。だが、この衝撃は決してネガティブなものだけでなく、非常にポジティブな動きを生み出す重要な分岐点にもなっている。
 
 日本サッカー協会は原博実専務理事、霜田正浩技術委員長(強化担当)、山口隆文技術委員長(育成担当)が音頭を取って、抜本的な構造改革に着手した。
 
 重要視したのは、年代別代表の一貫したフィードバック体制だ。U-15、U-16、U-17、U-18、U-21とそれぞれのスタッフが別個に帯同し、活動するのではなく、年代間のスタッフ同士のコミュニケーションを重視し、お互いの活動状況、選手の状況(コンディション、成長度)などを議論し合いながら情報を共有する。そうすることで、より一貫した育成強化を実現する狙いがある。
 
 U-15日本代表監督に森山佳郎氏を、U-18日本代表監督に昨年のU-19日本代表で鈴木政一監督の下、コーチを務めていた内山篤氏を据えた。ここに新たなに『育成アシスタントコーチ』を設置。元代表選手や海外リーグ経験者が、育成年代の選手たちに対して、その経験をアウトプットする狙いだ。
 
 U-15では98年フランス・ワールドカップを経験した「エスパルスアンバサダー」の斉藤俊秀氏がヘッドコーチを務めることになった。
 
 さらに、このふたつの代表と、J3を戦うU-22選抜を統括する担当ダイレクターも新設。このポストに元横浜F・マリノス監督の木村浩吉氏を据え、年代別代表全体を統括することで、よりフィードバックしやすい体制を整えた。

次ページ前回のU-19代表は所属Jクラブで唯一主力だった南野に依存。

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