【バイタルエリアの仕事人】Vol.12 中島依美|「本当に凄い」澤穂希の感覚に脱帽…アンカーとして、選手として求めるものは?

2021年12月30日 長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

海外勢を相手にすると、いかに予測できるかがより重要になる

なでしこジャパンでは中盤のキーマンとして活躍。世界を舞台に経験を積み重ねてきた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第12回は、WEリーグで首位を走るINAC神戸レオネッサの中盤の大黒柱、中島依美だ。前編では、リーグでの現状や今夏の東京五輪で感じた世界との距離感について語ってくれたが、後編ではさらにその思考や流儀を深く掘り下げていく。

 過去、海外のチームとの対戦では、フィジカルで押し込んでくるチームが多かったと言う中島。なでしこジャパンの中盤の核として戦ってきた彼女は、「バイタルエリア」に対してどう向き合いながらプレーしてきたのか。

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 国内外を問わず、攻守両面で「バイタルエリア」はすごく意識します。やはり強い相手だと、バイタルで受けられたら怖いですし、いかにそこを消すかというのはよく考えますね。海外のチームだと、バイタルで仕掛けてワンツーといったプレーはそれほどなくて、スピードを活かして押し込んでくる感じ。細かい足技やパスで崩してくるのは、スペインくらいでしょうか。男子と同じポゼッションスタイルなので、細かい崩しは本当に上手だなと思います。

 海外勢を相手にすると、やっぱりスピード感が違うので、いかに予測できるかが重要です。国内のサッカーでも予測は大事ですが、海外ではより必要になってきますね。守備をしている時もそうだし、攻撃をしている時でも、前の選手がこうボールをもらったら、次はどこが空くとか、あるいはここでもらったらシュートまで行けるという感じで、練習の時から意識してやっています。

 予測の部分で凄いと言えば、なんと言っても澤さんですね。私はいまINACでアンカーをやっているのですが、澤さんも一緒にプレーしていた当時はアンカーをやっていて、相手の攻撃をシャットダウンする能力が凄かったんです。ひとりでボールを獲り切ってしまう。あれは本当に凄い感覚だったと思います。いま、同じ役割を求められているわけですが、もう澤さんの比にはならない。本当に(笑)。

 アンカーに関しては、私自身あまりイメージがなかったんです。大体もうひとつ前のポジションでトップ下とか2列目のサイドが多かったですから。だから、今季は見える景色も少し違いますね。ちょっとゴールに遠くなっている感はあります。一個前だと抜け出しとかもできるけど、リスク管理だったり、考えることも多くなってきて・・・。年齢とともに、そういう立場になってきたんだなって(笑)。
 

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