「世界を見てこい」恩師の言葉で海外武者修行も視野に…左足の名手が志す指導者への道【玉田圭司ストーリー・後編】

2021年12月27日 元川悦子

早ければ2年後にはS級ライセンスの取得もあるか

今季限りで現役を引退した玉田。シーズン中には鮮やかな足技で巧みなゴールも挙げた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 今季限りでスパイクを脱ぐ決断をした玉田圭司。ファンタスティックな左足、イマジネーションに富んだプレーで観る者を楽しませてくれた稀代のレフティは、第二の人生をどう見据えているのだろうか。

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「今後についてはまだ決めていないんですけど、指導者の道は選択肢のひとつ。もしも自分が監督になった場合はワクワクする楽しいサッカーを見せるのが理想です。

 僕がこれまでで一番衝撃を受けたのは、(ジョゼップ・)グアルディオラ監督のFCバルセロナ。そこからサッカー観が変わりましたし、自分が思い描いていたような監督が出てきてくれたと感じたんです。

 ただ、誰かのコピーをしようとは思わないし、『自分流』を出していきたい。その時、どういうサッカー界になっているか分からないけど、貫くところは貫きたいです」

 12月11日の引退会見で、今後についてこう語った玉田圭司。指導者になると完全に決めたわけではないというが、ユニホームを脱いだ今も「理想とするサッカーの突き詰めたい」という思いは少なからずあるようだ。

 その布石を打つため、まずは指導者ライセンス取得を最優先に考えていくつもりだ。現時点ではJFA公認B級まで取得済みだが、日本サッカー協会は来年以降、日本代表キャップ数20試合以上の元代表選手のライセンス取得をスピードアップさせるという。もちろん成績にもよるが、玉田が2022年にA級、2023年にS級を取り、2024年から「玉田監督」としてJリーグの舞台で采配を振るうことも不可能ではない状況なのだ。

 2013年末から千葉県津田沼で自身がプロデュースするフットサル場「KT ESTADIO」で年に数回、子供たちを指導している関係もあり、彼は育成年代にも興味も示している。そのため、いきなりトップレベルのコーチを目指すかどうかは定かではない。どちらに進むにしても、「楽しいサッカーを追い求めたい」という気持ちは人一倍強い。それを他の人間に表現してもらおうと思うなら、選手時代以上のアグレッシブさが求められるのは確かだ。
 

次ページ恩師からは「玉田も自分から海外に出ていって、最先端の戦術やトレーニング方法を学び、自分なりのアプローチを見出さないといけない」との檄も

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