立ち返るべきは「キャプテン翼」の哲学 南葛SC指揮官が明かした大一番を“戦う”覚悟とプライド

2021年12月21日 伊藤 亮

南葛SC森一哉監督インタビュー【後編】関東リーグ1部昇格を懸けた入替戦へ「10週間で成長を楽しむ」

インタビューに応じた南葛SCの森監督。決戦を前にした心境を語ってくれた。写真:徳原隆元

 南葛SCにとっての一大決戦が迫ってきた。12月25日の関東リーグ1部チームとの入替戦。昇格条件は勝利のみ。

 森一哉監督は前代未聞の形での開催となった入替戦にいかなる姿勢で臨もうとしているのか。そこには、達観したものだけが持ちうる冷静さが漂っていた。

 しかし一方で、表に出ることはなくとも確実に燃え滾るマグマのごとき熱情も確認することができた。

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 12月25日に行なわれる関東サッカーリーグ2部と1部の入替戦。豊富なキャリアを誇る森一哉監督にしても「完全に新しい体験」という戦いになる。

 しかし、シーズンで貫いてきた「継続とつながり」をもって、この大一番に臨むと決めている。

「自分たちがやることをちゃんとやることが第一。ボールを保持している方に守備は合わせるので、自分たちのボールをつなぐサッカーをすれば、相手がどこでも基本的には変わりません。既に自分たちがやっていることを意識してやれば、相手は自然とこちらにハマると考えています」

 リーグ戦の最終戦が10月10日。入替戦が12月25日。チームはリーグ最終戦後にオフをとった。そして再スタートした翌週には入替戦の日程はある程度見えていた。

「少しリラックスしてリフレッシュした状態でスタートしてから、わりとすぐに日程が見えたので、もうそこに向けてスケジュールを立てて。なので、スムーズに進めていけた感じです」

 オフが明けて日程が見えてスケジュールを組んだ際に出てきた時間は10週間。シーズン集大成となる一戦を前にこれだけの間が空くというのは、様々な困難さが伴ったはずだ。

「最初は試合まですごい長いな、と思いました。でも、そう考えても疲れるだけですし、であれば捉え方を変えようと。入替戦だけにフォーカスすると難しくなりますけど、10週間という時間を、自分たちができることを増やす、より上達する、より強くなることに費やせると考えれば楽しめるな、と。その考えになってからはすごく楽しい時間になりました。実際、みんなやれることが増えているし、上手くなっているし、チームは進化している。それが見えているから今、すごく楽しいんです。楽しい時間が続けば、時間はあっという間に過ぎてしまいます。そして楽しむ感覚を選手と共有できれば、本番を迎えた時に間違いなく勝てる、負けるわけがないっていう雰囲気に持っていけるので」

 チームのベースである「止める、蹴る、運ぶ」技術の徹底からもたらされる進化。そしてリーグ戦途中から感じられたという"負けない雰囲気"。さらに「継続とつながり」をいっそう突き詰めることで成長を楽しむ。チームはリーグ戦でもたらされた成長の延長線上に今もある。
 

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