マインツでの挑戦がついにスタート! 武藤嘉紀への期待と課題

2015年07月09日 中野吉之伴

武藤はシュミット監督の要求を満たす人材。

新天地マインツで武藤は何を求められているのか。シュミット監督のサッカーにフィットするのか。克服すべき課題は? ドイツ・サッカーに精通したエキスパートが探る。 (C) Getty Images

 マインツに移籍した武藤嘉紀のチャレンジが、ついに始まった。
 
 プレミアリーグのレスターに去ったエースストライカー、岡崎慎司の代役として期待するファンの声もあるが、チームはあくまでもサイドプレーヤーとしての武藤を評価している。
 
 実際、マルティン・シュミット監督は武藤についてこう語る。
 
「時間をかけて視察を繰り返し、彼のプレーは我々のサッカーに合うと確信した。スピードがあり、俊敏で高い技術を持っている。大きな可能性を秘めた選手だ。我々に欠けていたサイドの位置で探していた選手だ」
 
 躍動感とスピード感にあふれ、攻守に積極的に仕掛けていくサッカーを志向するシュミット監督にとって、サイドアタッカーは生命線。しかし、昨シーズンはその肝心のポジションに適材が見当たらなかった。
 
 韓国代表のク・ジャチョル、アルゼンチン出身のパブロ・デ・ブラシス、スペインU-21代表のハイロ・サンペリオが主に4-2-3-1の両翼を担ったが、いずれもパスを足下に収めてから仕掛けるタイプで、ボールをスペースに引き出してゴールチャンスを作り出す動きに物足りなさがあった。
 
 トップ下のユヌス・マッリ、ボランチのヨハネス・ガイスやユリアン・バウムガルトリンガーが前を向いてボールを持っても、うまくサイドに起点を作れず、攻撃をスピードアップさせられないという課題を抱えていた。
 
 武藤とともに、元ドイツU-21代表のスピードスター、マキシミリアン・バイスターを獲得(ハンブルクから)したことからも、クラブがサイドを重要な補強ポイントと考えていた事実が分かるだろう。
 
 武藤は1対1での突破力に加え、タイミングのいいスペースへの飛び出し、さらにゴール前に抜け出して決めきるゴールセンスを備えている。まさにシュミット監督の要求を満たすタレントと言えるだろう。

次ページキッカー誌も指摘する「戦術理解」と「フィジカル」がポイント。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事