プロ分析官がオマーン戦を展望。“大迫か古橋か”問題にも鋭く切り込む

2021年11月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

ベトナム戦では内容面で課題も

ベトナム戦は1-0で勝利し勝点3を手に入れたが、内容面で課題が浮かび上がった。(C)JFA

 ベトナムに1-0で勝利し、最低限の結果を残せました。

 今回のアウェー戦では、入国前のフライトトラブルで日本代表が揃って練習する時間もほとんどなく、かつベトナム代表は時間を使って練習できていた状況で、「もう少し点数が取れれば」などの意見もあると思いますが、内容は置いておいて、一番大事な勝点3を取ることができた点は評価して良いのではないでしょうか。目標は大量得点で勝つことではなく、勝点を積み上げてグループ2位以内に入ることなので。

 内容面で課題はもちろんあります。それはワールドカップ本戦を見据えればの話ですね。ここまでの5試合で課題はそれぞれ異なりますが、今回のベトナム戦やオマーンとの初戦のように、スペースがなく守られた状態で崩し切れるほどの連係がまだないのは共通しています。

 ベトナム戦での得点シーンはカウンターからでしたし、VARで取り消された伊東純也選手のシュートシーンもCKからのカウンターでした。

 それ以外のところでは、崩し切るシーンも少なく、サイド攻撃が中心になりがちで、アナリストとしては分析しやすい攻撃でした。相手の攻撃は想定内で、対策しやすい形になっていたと思います。今回の最終予選で得点力が上がらない要因だと感じます。

 ベトナムの布陣は5-3-2でした。攻略ポイントとしては、深い位置に押し込んだ時に5バックが下がりやすいためバイタルエリアが空くことと、3枚の中盤のセンターをどれだけ引き出せるかという点だったと想定できます。

 15分のシーンでは、守田英正選手がサイドのスペースに流れ最終ラインからのボールを引き出します。その際に相手の3枚のセンターが対応するのですが、逆サイドのインサイドハーフの選手がサボりがちで隙がありました。ただ、そこを使い切れなかった。こういった穴をどれだけ見つけて共有し、突いていくか。
 
 序盤はあまり上手くいっていませんでしたが、徐々に狙いも形になってきました。守田選手と田中碧選手が常に状況を把握して、守田選手が下がって受けて、長友佑都選手を上げ、南野拓実選手が中に入るという左サイドのローテーションも頻繁に見せるようになります。同時に右のインサイドハーフに入っていた田中選手も、中や反対サイドに位置を取って、相手の3センターハーフを動かそうとチャレンジしていました。特に34分のシーンや前半のアディショナルタイムのシーンは前述の隙を突けた形でしたね。

 システム上のかみ合わせも含めて、相手のウィークがどこかということを、時間の経過と共に修正できつつありました。ただ、そこで仕留めきれなかったのは、ラストパスが乱れたり、クロスが通らなかったりなど選手の質もありましたし、ピッチ状況が悪くて難しい部分もあったかもしれません。得点シーンでは、南野選手がアシストする前もボールがポコポコ跳ねてましたし、外から見ていると、ここに通せばと思う場面もありますが、それも含めてアウェー戦の厳しさがあったかなと思います。

 守田選手、田中選手の判断力と視野の広さ、賢さが見え、相手の中盤3枚のスライドが遅かったこともあり、ここの攻略はある程度狙い通りできていたように感じます。
 

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