現役J指揮官が前代未聞の大学チーム指揮へ…流経大、12年ぶりリーグ制覇と復活の裏にある曺貴裁の存在

2021年11月14日 竹中玲央奈

船山貴之(千葉)・宇賀神友弥(浦和)世代以来の関東大学リーグ制覇

12年ぶりに関東大学リーグ1部を制した流通経済大。昨年は現京都監督の曺氏の下で力を付けた。写真:竹中玲央奈

 2009年以来、流通経済大が12年ぶりのリーグ制覇を果たした。

"勝ったほうが優勝" の大一番で明治と対峙した流経大は、前半終盤に明治に先制を許す。しかし、後半直後に生まれた佐藤響(鳥栖内定)の同点弾を皮切りに明治ゴールに圧力をかけ、途中出場の仙波大志(広島内定)の逆転弾が生まれる。逆転勝利、そして2位からの逆転優勝を果たしたのだ。
 
 2010年代に総理大臣杯と全日本大学サッカー選手権(インカレ)で複数回の優勝を果たしており名門のイメージが強い同校ではあるが、リーグ戦に関しては船山貴之(千葉)や宇賀神友弥(浦和)らが4年生であった2009年に優勝して以降、そのタイトルからは見放されていたのである。

 そんな12年ぶりの歓喜に湧いた流通経済大のメンバーの口からは、その場にいない男への感謝の声が絶えなかった。

「今日の勝利も9割以上、チョウさんの魂を持っていた選手がいたからかなと」

 中野雄二監督は言う。

"チョウさん"とは、言うまでもなく現在J2で昇格圏内にいる京都サンガF.C.の曺貴裁監督のことだ。パワハラ騒動でJリーグを追われ、1年間の資格処分を受けていた昨年、流経大で指揮を執った。史上初の関東2部降格を味わい「炎が消えかけた」(中野監督)同校の1年での関東1部復帰とアミノバイタル杯(関東選手権)優勝、冬の全国大会・atarimaeni cupでもベスト4へとチームを導いた。

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