「コパ・アメリカ > ワールドカップ」 コパの魅力は3つの「面白い」――現地取材ライターが今大会を振り返りながら醍醐味をプレゼン!

2015年07月05日 熊崎敬

選手たちは存分に自分を表現しながら勝負に徹する。

コパ・アメリカは、ワールドカップよりも面白い! 現地取材を続けた日本人ライターが、その魅力を“プレゼン”。 (C) Getty Images

 開催国チリの優勝でハッピーエンドを迎えたコパ・アメリカ。大会を振り返って思うのは、コパはワールドカップよりも面白い、ということだ。
 
 この「面白い」には3つ意味がある。
 
 ひとつ目は純粋にレベルが高いということ。
 
 EURO(欧州選手権)についての記事でよく見かける、こんなフレーズがある。
「EUROはワールドカップよりもレベルが高い。なぜなら、アジア勢やアフリカ勢がいないから、消化試合がほとんどないんだ」
 
 この指摘は、そのままそっくりコパにも当てはまる。
 
 チリ対ボリビア(5-0)、準決勝のアルゼンチン対パラグアイ(6-1)のように大差がついた試合もあったが、ほとんどが接戦だった。
 
 ブラジル・ワールドカップ予選で最下位だったパラグアイが準優勝のアルゼンチンに2点のビハインドから追いついたり、ワールドカップ本大会から遠ざかって久しいペルーがブラジルと最後の最後まで大接戦を演じたりするのを見ると、南米の質の高さを痛感せざるをえない。
 
 ふたつ目の面白いは、プレーが純粋に面白いということ。
 
 南米勢が異なる大陸でのワールドカップでなかなか結果を出せないのは、自分たちが慣れ親しんだ空気の中でプレーできないからだろう。
 
 アルゼンチンやブラジルといった大国でも、ファンは経済的な問題でなかなか応援に駆けつけられない。小国ならばなおさらで、エクアドルやパラグアイなどは雰囲気に呑まれて、よそ行きのサッカーになってしまう。
 
 だが、コパは南米のお祭りだ。南米では出稼ぎも含めて相当数の自国サポーターがスタンドを埋めるため、選手たちは存分に自分を表現しながら、勝負に徹することになる。
 
 いくつかの愉快なプレーがあった。
 
 踊るようにドリブルをするクアドラード。ダニエウ・アウベスは1対1の場面で静止し、右足をくねくねと動かしてみせた。アフロヘアで人気が出たペルーのレイナは、ドリブルにしか興味がない少年のようだった。
 
 こうした選手の素が滲み出るのは、同じ文化を共有するファンに囲まれて試合ができるコパならではだ。

次ページ忘れてはならないコパの魅力をもうひとつ――。

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