注目の一戦『横浜対札幌』をプロ分析官が徹底展望! 2週間の準備を経て、両者が用意した戦術は“継続”か“奇策”か?

2021年10月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

怪我で戦線を離脱していた札幌の福森を先発と予想

杉崎氏が予想した「横浜対札幌」のフォーメーション。

 Jリーグは10月16日、J1第32節の6試合を各地で開催する。日産スタジアムでは、アウェー4連戦を終えた2位の横浜F・マリノスが、ホームに11位の北海道コンサドーレ札幌を迎える。

『サッカーダイジェストWeb』では、Jリーグの各クラブでスカウティング担当を歴任し、2019年には横浜でチームや対戦相手を分析するアナリストとして、リーグ優勝にも貢献した杉崎健氏に勝負のポイントを伺った。

 確かな分析眼を持つプロアナリストは、注目の一戦をどう見るのか。予想布陣の解説とともに、試合展開を4つの状況に分け、それぞれの見どころを語ってもらった。

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●横浜F・マリノス
今季成績(31節終了時):2位 勝点69 21勝6分4敗 67得点・28失点

●北海道コンサドーレ札幌
今季成績(31節終了時):11位 勝点42 12勝6分13敗 40得点・43失点
 
【予想布陣解説】
 代表ウィークによる約2週間の中断期間中には、両チーム互いにトレーニングマッチやエリートリーグを行ない、準備を整えてきました。横浜にとっては、8月28日の27節・鹿島戦以来となる日産スタジアムでのホームゲームで、久しぶりに多くの自分たちのサポーターが駆けつけるピッチでプレーするため、相当な意気込みを持って臨むでしょう。

 予想したメンバーについて、横浜は前節の湘南戦からほとんど変更はなく、トップ下を天野純からマルコス・ジュニオールに代えたのみです。ただ、前節の前田大然の得点をアシストした仲川輝人が先発する可能性もあり、単純に右ウイングのエウベルと代えるか、もしくは左の前田が最近は相手に対策をされていて、なかなか彼の良さが出なくなってきていると感じるので、前田の位置にエウベルを入れて、右に仲川という並びもあり得るかもしれません。

 一方の札幌は、10月9日にエリートリーグを戦っていて、怪我をしていた福森晃斗が90分間出場。前節のG大阪戦でメンバーにいなかった荒野拓馬もこの試合でフル出場していたので、両者ともにスタメンで出るだろうと予想しています。

 お伝えしたい全体的なテーマは、「継続か奇策か」。自分たちのスタイルを継続していくのはどのチームも一緒だと思いますが、今回は約2週間の中断があったため、この期間で奇策を作りやすいです。とくに札幌はこれまでも、対横浜に関してシステム変更や守備のやり方を変えてきた過去があるので、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督は何かを用意しているかもしれません。それは横浜にも言えることで、お互いに奇策があるかどうかに注目です。

 横浜が奇策をするとすれば、システム部分で2つの案があります。1つ目は中盤で、これまではダブルボランチ、トップ下でやってきましたが、今回は少し形を変えてワンボランチ、ダブルトップ下にするかということ。2つ目は同カードとなったルヴァンカップ・プレーオフ第2戦で採用した、最前線に人を置かず、ダブルトップ下の脇に両ウイングを配置する4-2-4-0のような特殊な形です。奇策があるとすれば後ろではなく、前を変化させる可能性があると予測しています。ただ2つ目の「ゼロトップ」に関しては失敗したと見ているので、可能性は低いですが。

 札幌に関しても、新外国籍選手のミラン・トゥチッチがいたところに荒野を入れて、こちらも0トップのような形を予想しています。ただもちろん、前節はG大阪に5-1と勝利しているので、いつもの3-4-2-1から変えないことも大いに考えられます。しかし今回は、横浜相手にいかに敵陣でボールを奪うかが大事なので、トゥチッチら外国籍選手よりは、守備にも積極的な金子拓郎、小柏剛、荒野の3人がスタートから出場すると予想しました。

 また、横浜の得点の時間帯は後半の最後の30分が多く、逆に札幌はこの時間帯の失点が若干ではありますが多いです。さらに一方で、札幌が一番点を取るのは後半の立ち上がりで、横浜が一番失点をしているのもこの時間帯。後半の立ち上がりと最後の30分の試合展開にも注目です。
 

次ページ横浜の自陣からの攻撃vs札幌の敵陣での守備

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