大舞台で先輩たちをも叱責、昨冬は単身渡仏…FC東京に内定した青森山田MF松木玖生とはいかなる選手なのか?

2021年10月12日 松尾祐希

中学時代から将来を嘱望された男は、1年次から下級生らしからぬメンタリティを発揮

FC東京に来季の加入が内定した松木。今夏のインターハイでは悲願の全国制覇を果たし、1年次の高円宮杯以来のタイトルとなった。写真:田中研治

 Jクラブか欧州挑戦か。青森山田中時代から将来を嘱望されていた男がFC東京でプロのキャリアをスタートさせる。

 10月12日、FC東京は青森山田に所属する松木玖生の加入を発表した。

 春先から去就が注目され、海外志向が強かった松木は2月に渡仏。フランス1部リヨンのトレーニングに参加し、その後もJクラブだけではなく、海外挑戦を視野に入れながら行き先を探していた。
 
 思い返せば、常に注目を浴びるプレーヤーだった。青森山田中の3年生から高校生に混ざってプレーし、Bチームで参戦しているU-18プリンスリーグ東北だけではなく、U-18高円宮杯プレミアリーグにも出場。すでに中学レベルを超えており、「青森山田にすごい奴がいるぞ」という声が多方面から聞こえていたほどだ。高校入学直前のサニックス杯から主力として活躍し、フィジカルの強さを生かしたキープ力と物怖じしないプレーは中学卒業したばかりの選手とは思えない存在感を放っていた。

 その1年生らしからぬメンタリティはピッチ外でも随所に見られ、練習中から先輩たちと対等に会話。その振る舞いからも、只者ではない雰囲気を醸し出していた。中でも象徴的だったのは冬の高校サッカー選手権だ。準決勝の帝京長岡戦で攻守に渡って活躍した松木はチームの2点目も決めたが、守備の局面では3年生の先輩たちを鼓舞。37分に相手の決定機を阻止した場面では「よっしゃー!」と雄叫びを上げ、身振り手振りを交えながら、「もっとやろうぜ」と言わんばかりの形相で仲間たちを奮い立たせた。それでも伝え足りなかった松木はハーフタイムにも再度叱責。大会通算4得点の決定力も含め、松木の存在が全国に知れ渡るきっかけとなった。

 選手権でその名を知らしめた松木だったが、2年次は苦しんだ。新型コロナウイルスの感染拡大により、9月から始まったスーパープリンスリーグでは4-1-4-1のシャドーで安斎颯馬(現早稲田大1年)とのコンビでゴールを量産した一方で、冬の選手権では昨年度に続いて準優勝に終わってしまう。自身の出来も不満が残る内容に、今年の春に話を聞いた時に悩みながらプレーしていたことを明かした。

「去年は迷いがあった。前に安斎がいて、後ろに(宇野)禅斗がいる。自分のポジションが明確ではなく、自分自身のプレーができなかった。(プレーしていても)ストレスはあって、抑えていた部分はある。選手権ではビルドアップのところを意識し、周りを目立たせたいという気持ちがあった」

松木玖生も大活躍!『サッカーダイジェスト』選定の高校総体ベストイレブンは?

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