主力組の議論の光景にジーコ体制の一件を想起… 森保監督と選手たちの意思疎通に落とし穴はないか?

2021年10月10日 元川悦子

ランニングの後、サブ組の練習が強度を上げる傍らで、冨安と吉田、長友、酒井、遠藤が話し合いを始めた

練習の合間に議論を行なう主力組の選手たち。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 7日(日本時間8日未明)のサウジアラビア戦(ジェッダ)のショッキングな0-1の敗戦から1日半。12日の次戦・オーストラリア戦(埼玉)に向け、チャーター便でいち早く帰国した日本代表は9日夕方、千葉県内で仕切り直しのトレーニングを実施。2022年カタールワールドカップ(W杯)出場権獲得に向け、チーム全体が今一度、ギアを入れ直した。

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 練習自体はサウジ戦のスタメン10人がクールダウン、GK権田修一(清水)を含むサブメンバー15人が横内昭展コーチの指導の下でボール回しやゲーム形式のメニューを行なった。

 こうした光景はいつも通りだが、重苦しいムードが感じられたのは確かだ。ランニング中の吉田麻也(サンプドリア)や長友佑都(FC東京)、柴崎岳(レガネス)の表情は硬く、最終予選序盤3戦で2敗という事態の深刻さが色濃く窺える。

「一人ひとりが勝ちたいと思っているし、W杯に行きたいという気持ちはある」とこの日メディア対応した冨安健洋(アーセナル)も神妙な面持ちでコメントしていたが、そのためにどうしたらいいのかを彼らは考えあぐねている様子だった。

 ランニングの後、サブ組の練習が強度を上げる傍らで、冨安と吉田、長友、酒井宏樹(浦和)、遠藤航(シュツットガルト)が話し合いを始めた。そこに南野拓実(リバプール)も加わり、10分以上の議論が続いた。

「どうボールを動かすかは全選手が共有しないといけないと思います。サウジ戦でも航君が持った時に相手センターバック(CB)が消しに来ているのは感じていた。そこで今、誰がフリーなのかを感じ、どうボールを届けるかを考えて、やっていかないといけない。あとサイドチェンジも後半は足りなかったし、スローインのところでのボールロストも多すぎる」と冨安は問題点を指摘していたから、そういったことを伝え、彼らなりに正解を導き出していたのだろう。

「ウチのピンチはマイボールをボールロストしたところから攻め込まれるのがほとんど。相手がビルドアップをしていて、そこから何本もつながれて数的優位を作られてというのはほとんどなかった」と最後尾の権田も言及する通り、間違いなくこの劣勢の最大要因はボールを簡単に失いすぎることにある。

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