【日本代表考察】岡崎慎司と浅野拓磨の共通点――熾烈な最終予選で、W杯の出場権獲得以外に求められること

2021年10月07日 浅田真樹

五輪を経験、最終予選で成長、本大会でブレイク

18年のロシアW杯出場権獲得に貢献した浅野。当時の経験は今に活きているという。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 2010年南アフリカ大会と2018年ロシア大会。日本はそれぞれのワールドカップの最終予選で、最終的に勝って本大会出場を決めている。

 南アフリカ大会の時はアウェーのウズベキスタン戦で1−0、ロシア大会の時はホームのオーストラリア戦で2−0と勝利し、歓喜の(と同時に、安堵の)瞬間を迎えた。

 実は、このふたつの"ワールドカップ出場決定試合"には、ある共通点が存在している。いずれの試合も、オリンピック世代の選手が決勝ゴールを決めていることだ。

 2010年南アフリカ大会の最終予選では、2008年北京オリンピックに出場した岡崎慎司が、2018年ロシア大会の最終予選では、2016年リオ・オリンピックに出場した浅野拓磨が、それぞれ決勝点となる先制ゴールを決め、日本をワールドカップ出場に導いている。

 後者の試合で言えば、貴重な追加点を叩き出したのも、リオ・オリンピック世代の井手口陽介である。彼らの活躍については当時の日本代表キャプテン、長谷部誠も「このような大舞台で結果を出せるのは頼もしい」と話していた。

 最終予選の厳しさや難しさについては、今さら言うまでもないだろう。日本をどうにか出し抜こうと、あの手この手で挑んでくる相手を蹴散らしながら、その一方で、自らは世界を見据えた強化を続けていかなければならない。これを同時並行で進めるのは、相当に難易度が高い。
 
 だからこそ、そこでは過去の事例が示すように、新戦力の台頭が求められるのである。

 オリンピックを経験した選手がA代表に加わり、最終予選の戦いに勢いを与え、ひいては最終予選を経験して成長した彼らが、ワールドカップ本大会で大ブレイクを遂げる。そうした循環を作り出せれば理想的だ。

 だとすれば、来年カタールで開催されるワールドカップへ向けて、期待されるのは東京オリンピック世代の選手たちである。

 森保一監督がふたつの代表チームの監督を兼任し、「1チーム2カテゴリー」で活動してきたこともあって、東京オリンピック世代にはA代表経験者が数多い。A代表でも不可欠な存在となっている冨安健洋を筆頭に、久保建英や堂安律といった選手も、すでに主力に近い存在と言えるだろう。
 

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