代表戦視聴率が低下…サッカー人気低迷の原因は? 日本と共通の問題を抱える“選手輸出国”ベルギーに改善のヒントが

2021年09月30日 後藤健生

代表戦の地上波での中継も難しく…

近年、日本代表戦の視聴率が低下するなど、サッカー人気が落ち込んでいる最大の原因とは。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 近年、日本代表戦のテレビ視聴率が低下するなど、日本でのサッカー人気は低迷気味だ。人気が落ち込んでいる原因や今後の改善策などについて、サッカージャーナリストの後藤健生氏に見解をうかがった。

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 9月に始まったワールドカップ・アジア最終予選では、日本代表のアウェーゲームの地上波、またはBSによる中継がなくなってしまった。深夜の放映となることが多いアウェー戦では、高額の放映権料を払って中継しても視聴率が上がらないのが現状だという。

 また、同様の理由で将来的にはワールドカップ本大会の中継も地上波やBSで見られなくなってしまう可能性もあるという。「代表戦」とくにワールドカップはサッカー人気を牽引するものだけに、もしこれが本当なら憂慮すべきことと言わざるを得ない。

 ネット配信はたしかに便利なものだ。いつでもどこでも視聴可能だし、また日本戦以外も簡単に視聴できるので、サッカー好きにとっては大変にありがたい。だが、地上波の中継がなくなってしまうと、サッカーに対してとくに強い興味を持たない一般の人たちが試合の情報に接する機会は明らかに減ってしまう。

 誰でもが無料で簡単に視聴できる地上波放送というのは、やはりその競技の人気を高めていくうえで大切なことなのではないか。
 
 地上波などでの中継が難しくなったのは、放映権が高騰した割に視聴率が稼げなくなっているから。つまり、サッカーに対する関心が低くなっているということだ。

 新型コロナウイルス感染拡大前の2019年に、J1リーグの平均観客動員数が初めて2万人を超えたことでも分かるように、決してサッカーファンが減ったわけではない。だが、コアなファン、サポーターは増えていても、一般国民のサッカーに対する関心は高まっていないのが現状なのだ。その結果として、新規のファン、サポーターを獲得することも難しくなっている。

 最大の原因は、日本を代表する選手のほとんどがヨーロッパのクラブに移籍してしまっていることだろう。久保建英のインテリジェンスあふれるパスも、三笘薫の独特なドリブルも、冨安健洋の知性的なディフェンスも、もうJリーグでは見られないのだ。

 これでは、国内リーグが盛り上がらないのは当然のことだ。
 

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