Jクラブも注目する興國高CBのポテンシャル。C大阪U-18でFWを務めていた18歳はなぜ新たな挑戦を選んだのか?

2021年09月29日 松尾祐希

J下部組織から入部しても興國でのレギュラー獲得は容易ではない

高校3年になってDFに転向した興國のセンターバック坂本。昨年まではC大阪U-18でプレーしていた。写真:松尾祐希

 何が起こるか分からない。去年まではFWだった。高卒でプロの世界に進む可能性など未知数だった。しかし、環境が変われば、評価も変わる。C大阪U-18から興國に移籍した18歳がCBに転向し、Jクラブから注目を集めるまでに成長を遂げた。
 

 フィジカルの強さとスピードを併せ持ち、対人プレーにも強く、183cmの高さを生かした守りにも定評がある。そして、興國らしい正確なビルドアップも持ち味で、左足に加えて右足でのプレーも苦にしない。CBとして新境地を開拓した坂本稀吏也が日増しに存在感を高めている。
 昨季までC大阪U-18でプレーしていた坂本が興國にやってきたのは今年の春。「頭を使う興國のサッカーに取り組み、自分の経験を高めてもっと上手くなりたい」と、覚悟を決めてC大阪を飛び出し、さらなる成長を目指して新たなチャレンジをスタートさせた。

 合流当初はC大阪時代と同じくFWやトップ下で起用され、GW中に行なわれた関西プリンスリーグでも身体の強さを生かしたボールキープでまずまずのプレーを見せていた。しかし、その一方で新たなスタイルを身体に染み込ませるのは簡単ではない。興國のスタイルは相手の動きを見ながら、ボールを運んでいく。立ち位置も状況に応じて決まるため、興國のスタイルを実践するためには時間が掛かる。合流当初は坂本も例に漏れず苦戦したという。

「とにかく必死でした(笑)。自分が(戦術理解の面で)遅れているのは練習から分かる。敵によってポジションを変えるのはもちろん、敵のポジションを認知しながら自分のポジションを考えたり、味方を生かすための立ち位置を取る。その動き方や考え方が難しかった。なので、いろんな人に聞いたり、自分で試してみました。そうした積み重ねで、少しずつ慣れてきたと思います」

 ただ、今季の興國は前線に才能豊かなアタッカーが揃っており、いくらJ下部組織出身の坂本であってもレギュラーに定着するのは一筋縄ではいかない。FW永長鷹虎(3年/川崎入団内定)、FW荒川永遠(3年/山形入団内定)といった個で勝負できるタレントや、1年生ながら10番を背負う宮原勇太もJクラブから既に注目されている。また、サイドにも向井颯(3年/福島入団内定)がおり、攻撃的なポジションで地位を確立するのは容易ではなかった。

「能力的にはいけるかもしれないけど、興國はサッカーの頭が必要。他の選手と比べると劣っていた」(坂本)

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