AZの右SB菅原由勢は、９月26日のゴーアヘッド・イーグルス戦（エールディビジ第７節）でフル出場し、５‐０の勝利に貢献した。公式戦で３試合続けてスタメンから外れていたが、先発復帰２試合目で今シーズン最高のパフォーマンスを披露した。

　攻撃面では、２アシストを記録するなど、３ゴールに絡んだ。まずは４分、相手FWのトラップが大きくなったところを狙い、ダイレクトで前線に正確なフィードを供給。ここからAZは手数をかけずに攻めきって、左ウイングのイェスパー・カールソンが先制ゴールを決めた。

　29分には、右サイドからピンポイントクロスを送り込み、これにMFダニ・デヴィトがドンピシャリのヘッドで合わせて２‐０とした。「クロスを強みとしてやっていきたいと思って練習している」という菅原は、この試合でその入れ方を少し調整していた。

「それまで、難しく考えすぎていたというか……。いつも蹴る前に中を見てクロスを上げているんですが、今日は試合前に『クロスに対してもっと選手がペナルティーエリアの中に入っていこう』という話があったので、（味方ではなく）タイミングを見て『とりあえず上げよう。そしたら誰かが入ってくるだろう』と思って蹴っていました」（菅原、以下同）

　ただ、後に映像を見返すと、しっかりペナルティーエリアの中を確認してからクロスを入れていた。要は、クロスを入れる際の比重を"味方"より"タイミング"に心持ち置き換えたのだろう。

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　そして、この日２つ目のアシストは85分、チームの４点目だった。相手選手との１対１を制してボールを奪いきると、相手陣内に生まれたスペースにミドルパスを出し、俊足FWザカリア・アブカルのゴールを演出した。

　この日の攻撃面での貢献を振り返った後、菅原はこう続けた。

「２アシスト・１プレアシストしたので、攻撃面に目が行きがちとは思いますが、僕としては守備面での出来高が大きかった。攻撃より守備のほうが評価できる試合だったと思います」

　その言葉通り、21歳のDFは、スライディングタックルとスタンディングタックルを使い分けながら相手のドリブルを阻止し続けた。デュエルに果敢に挑んで勝った後、さらに足を止めずに前へ出た。相手の懐に飛び込んでボールを奪うと、腰を使いながら自分の間合いを保ってボールをキープ。対峙した左ウイング、攻撃参加してきた左SB、ペナルティーエリアに侵入しようとするMF、逆サイドから回ってきた右ウイング、そして、ボックス内でのストライカーと、相手の攻撃をパーフェクトに抑え込んだ。

　なかでも前半終了間際、相手のストライカーをマークしていた菅原が、左SBのフリーランニングに視線を送りながらポジションを微修正し、最後はストライカーの放ったシュートに詰めてブロックしたシーンは、守備での成長を如実に表わすものだった。

「あの局面は"ゼロ・コンマ何秒の世界"ですから、とても難しかった。何が起きても良いように準備して、冷静に対応できました」

　相手チーム、個々の選手の特徴は、自分でしっかり分析して頭に叩き込んでいた。それが実って、相手の癖を利用しながら優位に１対１の状況を作ってボールを奪い続けた。

「そこは僕にとって収穫でした」　

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