【バイタルエリアの仕事人】Vol.9 金森健志|まだ何も決まっていない。残り試合、一つひとつを決勝戦のつもりで

2021年09月29日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

必ずプレスバックして1対2の状況を作る

攻守をつなぐ局面でも質の高いプレーを見せる。「守備をしながらも、奪ったあとのことは考えています」。写真:滝川敏之

 攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第9回は、地元クラブのアビスパ福岡に5年ぶりに復帰し、不可欠な戦力として活躍する金森健志だ。前編ではチームの今季の戦いぶりや、バイタルエリアの崩しで意識していることを語ってくれた。後編では、さらにその思考や流儀、終盤戦に向けた意気込みなどについて訊いた。

 豊富なスタミナでピッチを縦横無尽に走り回るアタッカーは、攻守をシームレスに結びつける過程でも、質の高いプレーを見せる。味方が奪ったボールを預けられれば、ダイレクトで前線の選手にスピーディに渡す場面は少なくない。そして守備の局面での貢献度も高い。精力的かつ組織的なディフェンスでチームを助ける。

 印象的だったのは、29節・湘南ベルマーレ戦、58分のシーンだ。相手のボールホルダーを中に入れさせないようにしながら、味方のサイドバックと連係してピンチの芽を摘み取る。実にクレバーで息の合ったワンプレーだった。

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 アビスパはカウンターが得意なサッカーをしているので、自分のところで簡単に失わないように、守備から良い攻撃につなげるパスはめちゃくちゃ意識していますね。

 守備をしながらも、奪ったあとのことは考えています。フアンマ選手や山岸選手らフォワードの選手たちは本当に良い位置にいてくれるので、自分もやりやすいというか、パスを出しやすいし、ボールを失わずにプレーできています。もちろん、自分で運べる時は運ぶようにはしていますが、パスを出すための視野の広さは、もっともっとレベルアップしたいと思っています。

 一方の守備では、自陣のバイタルエリアを守るためには、まず絶対にサボらない。あとは、自分は味方のサイドバックと相手のサイドハーフが1対1にならないように心がけています。攻められている時、必ずプレスバックして1対2の状況を作るようにする。どれだけキツくても、攻撃したあとでも必ずプレスバックして、戻って守備をする。

 湘南戦のその場面は、覚えています。ボールがアウトになったあと、サイドバックの湯澤選手とハイタッチしたやつですね(笑)。自分が見ていた相手選手の後ろから、もうひとりオーバーラップしてきて、その選手にボールが渡って、最終的には湯澤選手がブロックしてゴールキックになった。

 相手に簡単にクロスを上げさせない守備を、湯澤選手と連係してできたと思います。一瞬の出来事で対応は簡単ではなかったんですけど、湯澤選手と意思疎通ができていましたし、それはエミル・サロモンソン選手とでも、同じように対応ができていたと思います。
 

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