日本人ダービーで珍しく“主将”指名された伊東純也が決勝アシスト!「昨日、監督にやれと言われました」【現地発】

2021年09月20日 中田徹

ELから先発7人を入れ替えたゲームで鮮やかな逆転勝利

ヘンクで初めてキャプテンマークを巻いた伊東。チームを逆転勝利に導いた。(C)Getty Images

 現地9月19日、「リンブルフ・ダービー」と呼ばれるSTVV対ヘンク戦、そのメンバー表が配られる前の記者室での出来事だった。ヘンクOBのストライカーで、現在はテレビ解説者を務めるウェズリー・ソンクが、顔見知りの記者を通じて両チームのスタメンを教えてくれた。

「今日はイトウがキャプテンだよ」

 え!? っと驚く私たちに、ソンクは「イトウなら足でチームを引っ張ることができる」と言った。

  9月12日のユニオン戦から次のインターナショナルマッチウィークまで、ヘンクは毎週水曜日か木曜日に試合が組まれている。STVV戦の3日前にも、ヘンクはヨーロッパリーグでラピド・ウイーンと敵地で戦っていた。ファン・デンブロム監督はSTVV戦でフィールドプレーヤーのうち7人を入れ替える大胆なローテーションを敢行。チーム内でもっとも豊富な経験を誇る伊東をキャプテンに任命したのだ。

「昨日、監督から『キャプテンをやれ』と言われました。言葉はあんまり喋れないんですが」(伊東、以下同)

 前半序盤からヘンクはポゼッションで優位に立ったが、なかなか攻撃をテンポを上げられず、決定機の数が少なかった。一方、STVVは「守」から「攻」の切り替えの速さで対抗し、前半アディショナルタイムに鈴木優磨が橋岡大樹のクロスをヘッドで合わせて先制した。

「ボールポゼッションの部分では前半も良かったと思いますが、最後のところの攻撃のアイデアとか、裏に抜けるところとかが無かった。優磨にやられたのはディフェンスが集中してなかったと思います。あそこはクロスを上げさせちゃいけないし、マークも付かないといけないしというところで、ああいうのは反省しないといけないですけれど、トータル的に見たらそこまで悪くなかった前半だったと思う」
 
 後半に入ってもヘンクはSTVVのカウンターに手を焼き、60分には鈴木のヘディングシュートで肝を冷やすがGKファン・デルファールトのファインセーブに助けられた。その直後に、ファン・デンブロム監督は3枚替えを決断する。そのうちのひとりには、伊東と息の合った攻撃を見せる長身ストライカーのオヌアチュがいた。

 73分にペイントシルのゴールで1対1と追いついたヘンクは、83分に「伊東×オヌアチュ」のホットラインが火を噴く。MFハイネンがファーサイドに入れたクロスを伊東がヘッドで折り返し、オヌアチュがフェイントでマーカーを剥がしてから逆転のシュートを決めたのだ。このときの伊東は、いつもより感情を露わにして喜んでいたように思えた。

 STVVの捨て身の攻撃を、ヘンクは身体を張って守り切り、2対1の勝利を収めた。キャプテンマークを巻いた伊東は心底ホッとしたように「勝ってよかったです」と語った。

「今度の水曜日にはアントワープとの試合がありますし、ずっと連戦が続いているので、どこかで休まないと苦しくなる。やっぱり誰が出ても勝たないといけない。このように、メンバーが変わっても勝つのは大事かなと思います。しかもダービーなんで。ここで負けたらめちゃくちゃ気分も落ちていた。勝ててよかったです」

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