【J1トップ3順位予想】猛追の横浜と失速の川崎、明暗を分けた“夏の移籍事情”。3位争いは鳥栖と神戸の一騎打ちか?

2021年09月16日 加部 究

際立つ横浜の“選手層”

左から神戸の大迫、川崎のL・ダミアン、横浜の仲川、鳥栖の山下。J1トップ3の順位を予想する。(C)SOCCER DIGEST

 28節を終えた今季のJ1リーグも、一部のチームを除いて残り10試合。現時点で優勝争いは川崎、横浜の2チームに絞られた感があり、一方でACL出場圏内の3位争いは混迷を極めている。

 ここではスポーツライターの加部究氏に、チーム状況や今後の日程、注目選手などを踏まえたうえで、今季J1の最終的な「トップ3」の順位を予想してもらった。

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【加部氏のトップ3予想順位】
優勝:横浜F・マリノス
2位:川崎フロンターレ
3位:ヴィッセル神戸
 
 今年のJ1は夏を境にシナリオが分断された。

 序幕は川崎が記録破りのハイペースで独走態勢を築きかけた。だが開幕時点では故障者が相次ぎ、初戦で川崎に叩かれた横浜が、戦力を揃えるとともに猛追を見せる。

 明暗を分けたのは、欧州シーズンの幕が開く夏の移籍事情だった。川崎は快進撃の命綱とも言える三笘薫と田中碧が移籍。大島僚太の怪我が長引く状況で、谷口彰悟らの離脱が追い討ちをかけた。

 逆に横浜は、チームの土台を築いたアンジェ・ポステコグルー監督をセルティックに引き抜かれたが、既にチームの方向性は定まっており、むしろ後任のケヴィン・マスカット監督は勢いを加速させていく。それが第二幕の始まりだった。こうして8月25日の26節で川崎がアビスパ福岡にシーズン初黒星を喫すると、横浜はサガン鳥栖との上位対決で4-0と快勝し、両者の勝点差は「1」に縮まった。

 横浜の強さは、この鳥栖戦を見ても際立っていた。レオ・セアラがチームにフィットし、前田大然が攻守に多大な貢献を見せて好調を持続。さらに、トップ下のマルコス・ジュニオールと右サイドのエウベルがスタメン出場したわけだが、60分過ぎからはこの4人を適時交代させた。

 だが代わりに出てきたのが、一昨年度のJリーグMVP仲川輝人を筆頭に、天野純、水沼宏太、小池龍太だったため、質が保たれたまま個性の異なるフレッシュなメンバーが注入され、鳥栖は一層対応に苦慮することになった。横浜の層の厚さは際立っている。ほぼ全てのポジションに同レベルの複数の選手を抱えており、指揮官も5人交代ルールを最大限に活用しての総力戦を全うしている。

 しかし、そんな横浜が窮地に陥ったのが、28節のサンフレッチェ広島戦だった。GK高丘陽平とともに代えの効かないコンビだった畠中慎之輔とチアゴ・マルチンスが同時に離脱。ボランチと兼用だった岩田智輝のCB起用は想定通りだろうが、相棒として抜擢した實藤友紀が逆転ゴールを決めるプラスアルファの効果ももたらし、3-1の快勝に繋げてしまった。
 

次ページ3位争いで戦力的に優位に立つのは名古屋と神戸だが…

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