WEリーグ開幕戦ベレーザ対浦和の一戦に抱いた期待。Jリーグとは違う空気感があった

2021年09月12日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

Jリーグと比べて家族連れの比率が多かった印象

試合は浦和の勝利で幕を閉じた。塩越は88分に劇的な逆転ゴールを決めた。写真:田中研治

[WEリーグ第1節]東京NB1-2浦和/9月12日/味の素フィールド西が丘

「いやー面白かったね」
「良い試合だったね」

 スタジアムをあとにする観客が笑顔で話していた。

 9月12日、日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」がついに開幕。日テレ・東京ヴェルディベレーザと三菱重工浦和レッズレディースの試合は、歴史的な日に相応しい一戦だった。

 33分に植木理子のゴールでベレーザが先制すると、49分には浦和が菅澤優衣香の豪快なゴールで同点に。最終的には88分に決まった塩越柚歩の鮮やかなシュートで浦和が劇的な逆転勝利を収めるのだが、試合は各エリアで激しいマッチアップが繰り広げられ、手に汗握るような内容だった。
 
 2700部の一般チケットは完売。当日は2427人の観客が訪れ、会場を盛り上げた。メインスタンドとバックスタンドがほぼ埋まっていた味の素フィールド西が丘には、Jリーグと比べて家族連れの比率が多く集まっていた印象で、和やかな空気感に包まれていた。

 交代選手には子どもたちからも敵味方問わず拍手が送られ、試合後にはホームチームのサポーターも相手選手に手を振り、選手もそれに応える。会場が一体となって、選手を見守るような温かさがあった。

 実際にピッチでプレーしていた選手にもその空気感が感じ取れたようで、ベレーザの清水梨紗は、「小さい子から大人の方までたくさんの幅の方が来ているのは自分も見て思いました。こういう雰囲気の中でサッカーができるのはすごく幸せです」と振り返った。

 ただ一方、帰り道でこんな声も聞かれた。

「日テレ・東京ヴェルディ……なんだっけ?」
「ベレーザね」

 プロ化に伴い地上波放送の番組でも特集が組まれたり、DAZNでの配信が決まったりしたとはいえ、一般的な認知度はまだまだ低い。実際に観戦に訪れた人にさえチーム名が浸透していないのが現実だ。

 課題は、こうした新規のファンをいかに取り込んでいくか。岡島喜久子チェアも「新しいファンの方、コアなファンの方以外の層にも来ていただきたい」と語る。
 

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