久保建英の躍動で東京五輪世代浮上の流れが加速? 最終予選での台頭、抜擢が期待される人材は?

2021年09月08日 元川悦子

先制アシストの伊東と並んでマン・オブ・ザ・マッチに近い働きをしたのが…

東京五輪では絶妙なコンビネーションも見せた久保と堂安。A代表での活躍も待ち望まれる。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

「これが最終予選だと思いますし、とにもかくにも勝点3を取れたのは大きい。この精神的状態がこれからのスタンダードにならないといけない」

 7日(日本時間8日未明)の2022年カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選・中国戦(ドーハ)を大迫勇也(神戸)のゴールで1-0と勝ち切り、ようやく白星を手にした日本代表。しかしながら、シュート18本を放ちながら、自陣に引いて人数をかけて守る相手に苦戦し、思うようなゴールラッシュを見せることができなかった。
 
「あれだけ相手が引くと、我慢の時間帯が続くかなと考えていましたし、もどかしい時間が続きましたけど、焦らず、あの状況では相手のほうがしんどかったと思うので、チャンスをしっかり決め切ろうということだけを考えていました」と、大迫は冷静にプレーしていたというが、貴重な決勝弾を生んだのは、伊東純也(ヘンク)のこの仕掛けだった。
「あそこで受けた時に、いつもはカバーがいたけど、シンプルに1対1だったので、スピードに乗って縦に仕掛けてクロスというイメージで、それがうまく行きました」と本人も言う。そういうサイドをえぐってマイナスクロスを上げるような工夫がもっとあれば、前半のうちに複数得点を奪えていたかもしれない。そこは今後に向けての反省点と言える。

 ただ、こうした厳しい試合の中でも輝きを放った選手はいた。先制アシストの伊東と並んでマン・オブ・ザ・マッチに近い働きをしたのが、W杯予選初先発の久保建英(マジョルカ)だった。初戦を落とし、プレッシャーのかかる中、20歳でトップ下という大役を担った彼は凄まじい気迫で敵陣に突き進んだ。大迫とのワンツーからペナルティエリア内に侵入して右足を振り抜き、左ポストを直撃した前半23分の決定機、自らのミドルシュートのこぼれを伊東が広い、大迫が詰めながら決めきれなかった38分の得点機など、何度もフィニッシュの鋭さを見せつけた。

 後半も空いたスペースを見つけながら、ボールを受けてリズムを作り、ラスト15分間は右サイドへ移動。鎌田大地(フランクフルト)との共存にもトライした。これは連係不足から必ずしも機能したとは言えなかったが、「誰と組んでもチームのために最善のプレーをすることだけに集中していければいい」と本人も話した通り、トップ下へのこだわりを捨てて右に果敢にトライしていた。伊東が10月の次戦・サウジアラビア戦(アウェー)で出場停止になることもあり、森保一監督は「右サイド・久保」をテストしておきたかったのかもしれない。いずれにしても、彼が攻撃陣の中核に名乗りを挙げたのは、紛れもない事実だろう。
 

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