「ナカムラの印象を進化させた」古橋亨梧の活躍を英国人記者はどう見ているのか。「順調なスタートが切れた背景には…」【現地発】

2021年08月31日 スティーブ・マッケンジー

古橋は輝かしいスタートを切った

ここまで公式戦9試合に出場し、7ゴールをマークしている古橋。(C)Getty Images

 古橋亨梧は、セルティックで、とても印象的なスタートを切っている。スコットランドにいる私の友人、マイケル・ボイルも同じように感じているようだ。

 彼は子供のころからセルティックのファンであり、シーズンチケットも常に購入する生粋のサポーターだ。長年にわたってスコットランドの強豪を追い続けている彼に、日本人プレーヤーについて話を聞いた。

 2021年6月10日、セルティックはニール・レノン前監督の後任として、Jリーグの横浜F・マリノスを率いていたオーストラリア人のアンジェ・ポステコグルー監督を招聘した。新指揮官に対する期待はもちろん、現地サポーターの関心は、「彼がどんな才能の選手をJリーグから連れてくることができるのか」だったそうだ。

「我々は、2005年から2009年まで在籍し、スコットランド・リーグ128試合に出場して28ゴールを記録したシュンスケ・ナカムラのことを思い出していた。彼の最も有名なゴールは、グラスゴーで行なわれた、チャンピオンズ・リーグのマンチェスター・ユナイテッド戦で決めた直接FKだ。あの試合の勝利で、クラブは初めての決勝トーナメント進出を叶えた。立役者となった日本人の存在はセルティック・パークに刻み込まれた」
 
 今もサポーターの脳裏に強烈に刻まれた日本人プレーヤーの存在。その印象を塗り替えるべく、ポステコグルー監督がヴィッセル神戸から引き抜いてスコットランドに連れてきたのが、古橋亨梧だった。

「彼が背負っている背番号8は、これまでの14年間、クラブのキャプテンであり、数々のトロフィー獲得に貢献したスコット・ブラウンのものだった。それだけの才能に値するのかという興味と期待を、皆が持つのは当然のことだった」

 セルティックは、フットボール界でも有数の熱いファンを抱えるクラブだ。そのサポーターからの熱い期待を背負った古橋のデビューは、セルティックのリーグ戦の初戦、アウェーのハーツ戦だった。試合終盤に交代出場したものの、試合には1-2で敗れ、大きなインパクトは与えなかった。

 だがその1週間後、彼はセルティック・パークで行なわれたダンディー戦(6-0で勝利)で、鮮烈な先発デビューを果たすのだ。

「あの日は2万4500人の観客が見守っていて、そのなかでキョウゴはハットトリックを決めた。サポーターは、彼のスキル、スピード、ハードワークに熱狂したんだ。そのあともヨーロッパリーグ予選のFKヤブロネツ戦、プレーオフのAZ戦でもゴールを決め、カップ戦ではハーツにリベンジを果たす決勝ゴールを叩き込んだ。スタジアムの歓声は嵐のようだったよ。キョウゴがこの調子をキープできれば、さらに多くのゴールが生まれ、それがセルティックに多くのタイトルをもたらすと期待している」
 

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