『キャプテン翼』のテーマを体現! リアル南葛SCが地元・葛飾の小中学校で行なってきた「翼DREAM」とは?

2021年08月30日 伊藤 亮

2015年から続けている「翼DREAM」とは――リアル南葛SCの地域貢献活動【前編】

今回インタビューを受けていただいた運営担当の朝田氏(左)と、社員選手の石井(中央)、同じく楠神(右)の2選手。写真:浦 正弘

 Jリーグを目指すうえで、グラウンドで残す結果が重要なのは言うまでもない。

 一方で、地域に密着したクラブづくりもJリーグを目指すうえでは欠かせない。

 こちらの結果は一朝一夕で出せるものではなく、また狙って出せるものではない。ある意味、勝負事とは全く異なる難しさがある。

「子どもたちが夢に向かって頑張る」とは『キャプテン翼』のテーマだが、これを地でいく活動を南葛SCは続けてきた。しかもチーム始動当初からだ。

「翼DREAM」という名の地域貢献活動からも南葛SCというクラブの特徴が見えてくる。

――◆――◆――

 Jリーグ入りを志すクラブにあって「地域密着」は重要なキーワードだ。

「葛飾区からJリーグへ!」を合言葉にしている南葛SCも、チーム創設時から地域密着への意識を高く持っていた。

 その具体的な活動は様々だが、代表的なのが「翼DREAM」だ。地元の小中学校を巡り、サッカーに関する授業や実技指導をチームが始動した翌年の2015年から続けてきた。そして、当時から現在に至るまで現場を取り仕切ってきたのが朝田貴則・運営担当である。

「もともとは日本サッカー協会が行なっている社会貢献活動の『夢先生』をヒントにさせていただきました。その南葛SCバージョンができないかということで、みんなで考えた時に『翼DREAM』という呼称が生まれました」

 この活動が始まった当初、南葛SCはまだ東京都リーグ3部だった。現在と比べれば知名度もなければ、元Jリーガーといった選手もいなかった。しかし、区の教育委員会へ話を持っていくと、嬉しい反応が。

「葛飾区で毎年小学校6年生の男女の部で開催されている小学生交流サッカー大会がありまして。サッカーをしていない子たちでも出場できる小学校同士の大会なのですが、やはり勝ちたいのでしょう、その子たちに教えてほしいと。その大会の時期とサッカーが授業で扱われる時期も重なっていたので、主に12月と年明けの1月を中心に活動を始めることになりました」

 最初は自ら指導していた。時には知り合いを通じてオリンピック出場選手にも来てもらい語ってもらっていた。その後、カテゴリを上げていき、尾亦弘友希(現南葛SC WINGS監督)など元Jリーガーが入ってくることで年々、内容を充実させていった。翼DREAMの内容と規模を辿ることは、そのまま南葛SCというクラブの成長過程と重なっている。
 

次ページ「子どもたちの少しの刺激、ちょっとしたスパイス、エッセンスになって役立ってくれれば」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事