「これが米子北の現在地」あと一歩届かなかった全国初優勝。悔しさと手応えを胸にリスタートを切る!【総体】

2021年08月23日 安藤隆人

「最後にサッカーの厳しさを味わった」(中村監督)

青森山田に決勝で惜しくも敗れ、準優勝で大会を終えた米子北。監督と選手が今大会で得たと語る手応えとは。写真:田中研治

[インターハイ決勝]米子北1-2青森山田/8月22日(日)/テクノポート福井総合公園スタジアム

 あと一歩だった。これまでギリギリの戦いを勝ちにつなげてきた米子北が、最後の最後で力尽きた。

 青森山田との決勝戦。米子北OBの昌子源(G大阪)が2年時に出場した奈良インターハイ以来となる2度目のファイナリストとなり、悲願の全国大会初優勝をかけて臨んだ米子北は、前半10分にFW福田秀人(2年)の突破からPKを獲得すると、これを大黒柱のボランチ・佐野航大(3年)が決めて先制した。

 その後は守りを固めるのではなく、守備ブロックと前からの積極的なプレスを巧みに使い分け、青森山田のお株を奪うような激しい球際と、空中戦の強さを見せた。また攻撃では、精度の高い高速カウンターを繰り出してチャンスを作った。

 だが終了間際の後半34分に、ロングスローではなく、ショートスローに変えてきた青森山田に虚をつかれ、CB丸山大和(3年)に同点ヘッドを浴びる。延長戦に突入しPK戦が濃厚となってきた延長後半アディショナルタイム、相手に左CKを与えると、ふたたび丸山に決勝ヘッドを決められ万事休す。
 
 丸山を中心に青森山田の歓喜の輪が出来た瞬間に、タイムアップのホイッスルが鳴り響き、米子北の選手はゴール前で次々に倒れて泣き崩れた。あまりにも残酷なコントラスト。横綱を土俵際まで追い込みながらも、最後の最後でひっくり返され、土俵から転げ落ちてしまった現実にしばらく呆然とするしかなかった。

「この大会を通じてギリギリで追いついたり、追いつかれたり、でも逆転したりとしてきましたが、最後にサッカーの厳しさを味わいました」

 試合後、中村真吾監督は無念の表情を見せたが、「ただ、1試合1試合をこなすごとに成長することができましたし、冬に向けていい経験になったと思う。ピッチ中で選手同士が活発に話をして、盛り上げてくれたと思います」と選手たちの成長を実感していた。

 選手自身も悔しさとともに大きな手応えを感じていた。キャプテンのCB鈴木慎之介(3年)は、「青森山田と十分に戦える。ゴール前の身体を張るところだったりシンプルに走ること、メンタル面でも負けなかったからこそ、この部分はどんどん伸ばしていきたい」と語った。
 

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