【元ガンバ主将の挑戦】木場昌雄|東南アジアと日本の架け橋になるために――。

2015年06月26日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

タイでアンダー世代の国際大会を開催。

木場が手がけたU-14の国際大会では、タイの若きタレントたちがポテンシャルの高さを示した。写真提供:木場昌雄

 関西国際空港に降り立った3人の少年たちは、見るからに緊張していた。笑顔もなければ、会話らしい会話もない。
 
「着いた瞬間は、ほとんど一言もしゃべらない(笑)。これはどうなるかな、と」
 
 空港で3人を出迎えた木場昌雄は心配になったが、8日間の日本滞在を終えて帰国の途に着く頃には、彼らの表情は生き生きとしていた――。
 
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 現役時代はG大阪で12年間プレーし、キャプテンを任されたこともあった木場は、J2の福岡、地域リーグのヴァリエンテ富山とFC Mi-Oびわこ(現・MIOびわこ滋賀)を経て、最後はタイのカスタムズでスパイクを脱いだ。その後2011年9月に、一般社団法人『Japan Dream Football Association(以下、JDFA)』を設立。主な目的は、サッカーを通じて東南アジアと日本の架け橋になることだった。
 
 これまでの約4年間は、タイを中心に現地でのサッカークリニックやスカウティングなどを手掛けてきた。東南アジアサッカーの発展と、東南アジア出身のJリーガー誕生に向けて地道な活動を続けてきた。
 
 そんな木場に声がかかる。
 
 一昨年の12月頃、タイでアンダー世代の国際大会を開きたいと、ある旅行会社から相談があった。最終的には、その旅行会社と、広告代理店と、JDFAの3社が大会実行委員会となり、第1回目となる「U-14 ASEAN Dream Football Tournament」が開催される運びとなったが、木場にはひとつのアイデアがあった。
 
「大会で優秀選手を3人選んで、彼らを日本に短期留学させたいと思ったんです」
 
 JDFAとして大会に協力するにあたって、木場は自身の活動にいかにリンクさせるかを考えて、その希望を伝え、実現することができた。
 
「それができれば、僕が関係する意味もありますし、Jクラブとのつながりもさらにできる」
 
 ある程度、方向性が見えると、木場はスポンサー獲得、会場の手配、出場クラブへの声掛けなど、精力的に動き回って大会の開催にこぎつけた。

次ページガンバスタッフも3人の少年たちを高く評価。

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