【総体】「ずっと兄のプレーを映像で観て…」米子北の“マルチロール”佐野航大の成長の背景にあった偉大な兄・海舟の背中

2021年08月20日 安藤隆人

準々決勝で背番号10が大きな存在感

佐野が攻守に躍動し、米子北のベスト4進出に貢献した。写真:田中研治

[インターハイ準々決勝]神村学園1-3米子北/8月19日(木)/テクノポート福井総合公園芝生広場

 インターハイ準々決勝に勝ち進んだ米子北(鳥取)には、攻守の要である絶対的な存在がいる。

 背番号10のユニホームを身にまとうMF佐野航大(3年)は、ボール奪取能力、セカンドボールの回収、そして精度の高いドリブルとパスを持つ、攻守におけるマルチロールだ。

 神村学園(鹿児島)との準々決勝でも、背番号10は大きな存在感を放った。神村学園のFW福田師王(2年)と、トップ下の大迫塁(2年)のホットラインを分断すべく、「相手の試合のビデオを見て、どうビルドアップしてくるのか、攻撃のパターンなどを頭の中で整理ができたので、大迫選手をなるべく自分たち(ダブルボランチ)の前でプレーさせることを意識しました」と、常にふたりの間に立ち、動きに目を光らせた。

 さらに、ただブロックを作るだけではなく、タイミングを見て前に出て、前線からのハイプレスを促すなど、相手ボランチやディフェンスラインにも脅威を与えた。この大黒柱の動きにチームが呼応。12分にはボランチでコンビを組む山中奨(3年)の縦パスから、右サイドバックの原佳太朗(3年)を経由し、MF木村愛斗(3年)にボールが渡ると、木村がゴール左隅に狙いすましたミドルシュートを突き刺した。
 
 幸先よく先制した米子北は、30分にも左CKから木村が押し込んで追加点を挙げ、2点リードで前半を折り返した。後半、風上に立った米子北は、より攻撃の手を強めた。

 その中心にいたのは、やはり佐野だった。彼は海に近く、風が強かったテクノポート福井総合公園芝生広場のピッチ環境をいち早く把握し、前半と後半でプレー判断の選択を変えていたのだった。

「相手のキックの伸び、ヘッドの飛距離や正確性が風によって変わってくるので、そこを加味してプレーした」と語ったように、風下だった前半はボールが伸びてくるため、ポジションを低めにしたり、落下地点を見極めてセカンドボールの回収に走っていた。

 後半は風上に立ったことで、ポジションを高めにし、かつミドルシュートも積極的に狙った。後半だけで彼が放ったシュートは3。ゴールこそならなかったが、いずれも枠内を捉え、神村学園のGK廣川豪琉(2年)のファインセーブに阻まれていた。

 攻守においてイニシアチブを握ったチームは、後半11分に3点目を挙げ、直後に福田に1点を返されるが、これ以上の反撃は許さず。3-1でベスト4進出を決めた。
 

次ページ「(兄の)守備の仕方はもう参考になることばかりで…」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事