CL挑戦こそ欧州組の醍醐味。模範とすべき“内田篤人の継続力”

2021年08月18日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

内田が引退会見で語った「もっとも思い出に残っている試合」

内田はCLでクリスチアーノ・ロナウドらと激しいバトルを展開した。世界を体感するうえでこうした経験が重要になる。写真:Getty Images

 今やニュース番組やバラエティ番組に引っ張りだこの内田篤人。その姿を見て、ふと思う。1年前はまだピッチの上が彼の仕事場だったなと。そんな内田でなにより思い出されるのが、シャルケ時代にチャンピオンズ・リーグ(以下CL)で奮闘した姿だ。おそらく本人もCLに対しては特別な感情を抱いていたに違いない。

 事実、2020年8月24日の引退会見で「もっとも思い出に残っている試合は?」と訊かれた内田は、「CLのバレンシア戦(11年3月10日)」と即答。その理由をこう述べている。

「3点目はカウンターで、チームメイトが走り出したのを後ろから見た時、スタジアム全体が揺れていたというか。この試合をやるために僕はシャルケに入ったんだなと思えるほど、印象的なシーンでした」

 世界最高峰の舞台であるCLならではの熱狂を味わったからこそ、バレンシア戦が内田の記憶に深く刻まれているのだろう。実際、CLへのこだわりの強さについては、彼自身、次のように話していた。

「試合数が多くなるぶん大変ですけど、CLがあるとモチベーションはグッと高まります。チームもピリッとなるし、あるとないとでは全然違う。勝ち進めば勝ち進むほど、選手としても人間としても成長できますからね」
 
 7年間在籍したシャルケで、内田はCLに4回出場(10-11、12-13、13-14、14-15シーズン)。10-11シーズンはクラブ史上初のベスト4入りに尽力し、12-13、13-14、14-15シーズンはいずれもベスト16進出に貢献した(3大会ともベスト8入りはならず)。

 このコンペティションでの出場時間は2418分(29試合に出場)で、これは日本人選手で堂々の1位(ちなみに2位は香川真司)。レアル・マドリ―、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、アーセナル、インテル、バレンシア、リヨン、ベンフィカ、スポルティングなど対戦相手の顔ぶれを改めて見れば、その出場時間がいかに濃密なものだったかが分かる。
 
 当然ながら、クリスチアーノ・ロナウド、ライアン・ギグス、サミュエル・エトー、サンティ・カソルラなど世界的な名手たちとのマッチアップで場数を踏んできた内田の言葉には、当然ながら十二分の説得力がある。

「どれだけギリギリのところでやってきたか。CLでも何回も危ない試合はあったし、ギリギリでグループリーグを突破した試合もあった」
 

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