【コパ・アメリカ現地レポート】メッシ、輝くも… 土壇場で追いつかれたアルゼンチン

2015年06月14日 熊崎敬

アルゼンチンの2ゴールはいずれもメッシのドリブルから。

CL決勝から1週間と、ほぼ休みなくコパ・アメリカの舞台に立ったメッシは、このパラグアイとの初戦でも“世界一”のプレーを見せたが……。 (C) Getty Images

 コパ・アメリカ2015が6月11日(日本時間6月12日)、チリで開幕した。
 
 現地で取材するスポーツライターの熊崎敬氏が、南米の熱き戦いをレポートします。
 
――◆――◆――
 
【コパ・アメリカ2015】
グループB
△アルゼンチン 2-2 △パラグアイ
[得点者]ア=アグエロ(29分)、メッシ(36分PK):パ=バルデス(60分)、バリオス(90分)
 
 コパ・アメリカ2015は、メッシのための大会だ。
 
 それは開催国チリの人々も認めること。アルゼンチンが2試合を戦う北部ラ・セレナの大衆は、大会前から「世界一の宝物が我が街にやって来る!」と熱狂していた。ワールドカップを開催したブラジル人の心も奪ってしまったように、偉大なメッシは敵味方の垣根をも軽々と超えてしまう。
 
 1週間前、あの壮絶なチャンピオンズ・リーグ決勝を戦い終えたばかりのメッシは、ラ・セレナでも世界一のプレーを見せた。アルゼンチンは前半2ゴールを奪うが、それらはどちらもメッシのドリブルから生まれたのだ。
 
 29分のアグエロのゴールは、突破を試みるメッシに身体を入れたDFが、誤ってゴール前のアグエロにボールをプレゼントしたことで生まれた。
 
 36分にはメッシ自身がPKを決めた。このPKを呼び込んだのも、メッシの変幻自在のドリブルである。
 
 ペナルティエリア前でボールを持ったメッシが、容赦ない警備で鳴らすパラグアイ守備陣に忍び寄る。警備員は3人。加速したメッシが立ち止まり、大観衆は彼が捕まえられたと思った。だが、何が起きたのか次の瞬間、メッシは3人を置き去りにしてペナルティエリアに侵入していたのだ。
 
 慌てたパラグアイ人がメッシに殺到すると、彼は落ち着いて右にパスを出す。そこにディ・マリアが突っ込んできた。慌てたDFが足を出し、ディ・マリア転倒。この瞬間、レフェリーはPKを宣告した。
 リプレーを見ると疑問が残る判定だったが、主審もメッシのプレーに惑わされたのかもしれない。
 
 メッシとアルゼンチン代表の面々は、ラ・セレナの人々とアンデス山脈を越えてやって来た1万5000人の同胞を、前半45分だけで大満足させた。
 ゲームはアルゼンチンの快勝で終わるかと思われた。
「4-0だ。メッシはもっと決める」
 そんな楽観的な声も聞こえる。

次ページ90分、執拗なパラグアイの攻めが実を結ぶ。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事