【日本代表】金田喜稔がイラク戦を分析|宇佐美はやはりひと味違う。チームとしての狙いもはっきりと見えた

2015年06月12日 サッカーダイジェスト編集部

縦に速い攻撃が浸透しているのは見て取れた

岡崎の3点目を演出するなど攻撃の局面で持ち味を発揮した宇佐美。切れのあるドリブルや正確なシュートやクロスで存在感を示した。写真:サッカーダイジェスト

 当初はそれなりの強化試合になると思っていたが、イラクの実力があまりにも低すぎて正直言って評価しづらい。試合云々の前に、協会に対しては「もっと実になるような相手と組めなかったのか」と言いたい。欧州組と国内組が集まってチームを作る貴重な場なのだから、マッチメイクに関してはもっと努力が必要だったと思う。

【マッチレポート|日本 4-0 イラク】

【PHOTOギャラリー】日本 4 -0 イラク
 
 試合に関しては、日本が圧倒した内容からして当然の結果だと言える。ハリルホジッチ監督が標榜する縦に速い攻撃が浸透しているのは見て取れたし、選手たちも狙いをしっかり把握して忠実にこなしている様子も窺えた。
 
 とりわけ縦へのパスとそれを引き出す動きは、ザッケローニ監督時代と比べても明らかに増えている。宇佐美のドリブルから岡崎が決めた3点目の場面にしても、全員が縦への意識を共有していないと生まれないし、ゴール前の局面である程度数的優位を作らないとあのような連動性も出てこない。相手のレベルを差し引いても、コンビネーションの質が着実に上がってきているのを感じた。
 
 また、個々のパフォーマンスも良かった。シーズンが終わったばかりの欧州組、過密日程を強いられている国内組とも万全なコンディションではなかったと思うが、特に宇佐美のプレーは目を引いた。左サイドからカットインしてのシュートやクロス、仕掛けて縦に持ち込む力、前線でタメを作ったうえでの展開力を見ても、彼はやはりひと味違う。攻撃に新たなバリエーションを生み出せる選手だと改めて証明してくれた。
 
 加えて後半、攻撃が停滞し始めた時間帯に原口や武藤、永井を投入して活性できたのも収穫だろう。均等にチャンスを与えた結果、原口がきっちりゴールを決めるなど競争意識が確実に高まっているのも見逃せない。

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