「心を引き裂かれる思い」決勝で散った黄金世代、選手村で最終日を過ごし…【U-24スペイン代表の東京五輪滞在記3】

2021年08月10日 セルヒオ・サントス

そのまま帰国することができないことに不満顔を浮かべる者も

決勝でブラジルに敗れ、銀メダルに終わったスペイン。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 U-24スペイン代表の東京五輪での挑戦は、延長戦の末に決勝でブラジルに敗れるという無念な結果に終わった。

 メダルを掲げてスペインに帰国するという当初の目標は達成したが、あと一歩のところで頂点を逃したことが選手たちを落胆させた。後半、ミケル・オジャルサバルのゴールで同点に追いついたスペインはさらに攻勢をかけた。しかし立て続けに2本のシュートがクロスバーに嫌われる不運もあり、試合は延長戦に突入。その後半、ヘスス・バジェホの甘い守備対応を突かれ、マウコムに決勝ゴールを許した。

 翌日、一行は選手村に帰還した。予定通りのスケジュールだったが、中にはそのまま帰国することができないことに不満顔を浮かべる者もいた。ラ・リーガは今週末に戦いの火ぶたが切られる。1日も早く所属チームに合流し、開幕モードに切り替えたというはやる気持ちがそうさせていたが、これも金メダルを獲得していれば、状況は変わっていたことだろう。

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 もっとも選手村に到着すると、そうした不平不満も消え、6年前に始まった冒険の終わりをそれぞれの思いで受け止めていた。すべての始まりは2015年7月にギリシャで開催されたU-19欧州選手権だった。

 チームを率いるルイス・デ・ラ・フエンテ監督は1996年、1997年生まれの選手の中から18人のえりすぐりのメンバーを選出。その中にはダニ・セバジョス(当時2部のベティスに所属)、マルコ・アセンシオ(当時2部のマジョルカに所属)、ミケル・メリーノ(当時2部のオサスナに所属)、ヘスス・バジェホ(当時2部のサラゴサに所属)、ウナイ・シモン(当時アスレティック・ビルバオのフベニールに所属)の姿があった。いずれもまったく無名の存在だったが、力を結集してタイトルを獲得した。

 さらにその2年後にイタリアで開催されたU-21欧州選手権ではアセンシオを除いた前述の4人にカルロス・ソレール、ダニ・オルモ、オジャルサバル、ラファ・ミルが加わり、再びタイトルを獲得。今回、東京五輪を戦ったチームの土台が築かれていった。

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