【山形】“無敵状態”モンテディオのキーマンは山田康太。「包囲網を突破しないと上には行けない」

2021年08月08日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「勝ちに飢えている集団になってきた」

山形の攻撃陣を牽引している山田。後半戦もゴールにアシストに大活躍してほしい。写真:田中研治

 東京五輪での中断期間を経て、8月9日からJリーグが本格的に再開する。上位が混戦状態のJ2リーグで注目すべきは、23節を終えて6位のモンテディオ山形。リーグ戦での過去10試合の結果は9勝1分(6連勝中)、直近のアウェーゲームでは強豪のジュビロ磐田を2-1で下している。

 実を言えば、今季の山形はシーズン序盤に苦しんだ。昨季後半戦のようなダイナミックなサッカーを展開できず、一時は降格圏の20位に沈んでいる。しかし、4月22日の石丸清隆監督の退任、それに伴うピーター・クラモフスキー氏の就任を境に、チームは生き返った。ポゼッションがベースのサッカーを維持しつつ、人心掌握に長けたクラモフスキー監督が選手のモチベーションを上げる形で復調。今の快進撃に至った。

 なかでも光るのが今季加入のMF山田康太だ。開幕当初はボランチ、そこからサイドハーフを経て、10節の磐田戦(4月25日)から2トップの一角に固定されると、決定的な仕事をこなす回数が増えた。直近の磐田戦でも2ゴールに絡む活躍で勝利に貢献している。そんな山田は好調なチームをどう見ているのか。

「(シーズン途中から)選手たちがハングリーな気持ちを持ち始めました。対戦形式の練習で決めるところは決める、身体を張るところは張るといったように真剣勝負ができているから、公式戦の勝負を分ける局面で勝てているような気がします。チームとしてフワッとする感じもなくて、勝ちに飢えている集団になってきました」

 スピーディなアタックで崩すのが山形の特徴で、そのなかで「選手個々の持ち味が上手く出ている。一人ひとりの良さをチームとして出せるようになってきた」と山田は手応えを感じている。ただ、彼自身、クラモフスキー監督就任後のリーグ戦でキャリアハイの4ゴール・2アシストを決めているが、「その数字には満足していない」。

「もっと決められる場面はありましたし……。そもそも、自分一人の力でゴールやアシストを決めたわけではありません。チームが成長したからこそのゴールで、その意味ではみんなのおかげという部分もあります」
 
 試合をこなすなかで強く感じているのは「プロである以上、結果を出さないと評価されない」点だ。数字を残さないと選手として成長できないし、もっともっとできるところを見せないといけないという「欲が出てきている」。そんな山田の心に響いたクラモフスキー監督の言葉が「毎日ハードワークしよう。毎日全力でピッチに立とう」だった。トリッキーなプレーも見せる彼だが、その根底にはハードワークの精神が宿っている。

「泥臭さと戦うところはサッカーをやるうえで最低条件という感覚があります。マリノスにいた時、アンダー世代の代表でプレーした時もそういう考えはありました。まずはそこを体現しないとプロでやっていけない。特別意識しているわけではなくて、そのスタンスは身体にしみついています。しっかりと戦ったうえで、観衆を沸かせるプレー、びっくりさせるプレーができた瞬間が一番嬉しいです」
 

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