安定感抜群だったU-24日本代表は、なぜラストマッチで崩れたのか【東京五輪】

2021年08月07日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

「どこかでメキシコならいけるだろうと」

PKとセットプレーで3失点を喫し、メキシコに完敗した日本。メダルには手が届かなかった。写真:JMPA代表撮影

[東京五輪 3位決定戦]U-24日本1-3U-24メキシコ/8月6日/埼玉スタジアム2002

 U-24日本代表の戦いが終わった。グループステージでは2-1で勝利したメキシコに1-3の完敗を喫し、53年ぶりのメダルには手が届かなかった。ベスト4に進んだが、何も得られずに大会を去ることになった。

 痛恨だったのは、13分に遠藤航のファウルで与えたPKだ。「早すぎる失点がプランを大きく変えてしまった。(ピッチでは)1点ずつじっくりやっていこうと言っていたが、慌てずにやれる余裕はまだなかった」とCBの冨安健洋が語ったように、これで後手に回った感は否めない。

 なにしろ、吉田麻也、酒井宏樹、遠藤のオーバーエイジ3人が加入してから、先制を許したのは準決勝のスペイン戦のみ。それも延長戦の115分だった。開始早々にリードを許したことで、先手必勝で勝ち上がってきたチームに動揺が走ったのは、冨安のコメントからも明らかだ。

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 そして、その9分後に「脅威なのは1試合目(グループステージでの対戦)から分かっていた」(吉田)というセットプレーであっさり被弾。それでも、早めに1点を返せればまた違った展開になっていただろうが、頼みと久保建英と堂安律のWエースが封じられ、チャンスを作り出せない。決勝トーナメントに入って、2試合連続で120分間を戦ってきたチームは、いつもの躍動感が見られなかった。

 さらに後半に入って、58分にCKから再び失点。しかも、2点目と同じく、遠藤がマーカーをフリーにしてしまうという、信じ難い取られ方だった。

 残念ながら、ここで勝負は決した。3点差を追いつくための余力や駒は、もう残っていなかった。途中出場の三笘薫がようやく輝きを放ち、78分に得意のドリブルからネットを揺らして一矢を報いたが、焼け石に水だった。

 ここまで抜群の安定感を誇ってきたチームが、なぜこうも崩れてしまったのか。久保は「チームとして、どこかでメキシコならいけるだろうと思っていたのかもしれないです」と語ったが、気の緩みはなかったと思う。

【五輪代表PHOTO】U-24日本1-3U-24メキシコ|三笘が反撃の1点を返すも追加点が遠くメキシコに敗戦 53年ぶりのメダル獲得とはならず...

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