【バイタルエリアの仕事人】vol.7 山田直輝|「湘南で名を刻まないといけない」盟友・梅崎司との別れ

2021年07月28日 渡邊裕樹(サッカーダイジェストWeb編集部)

思い出はリハビリルームが多かった…

浦和、湘南と2クラブに渡ってともにプレーしてきた山田(左)と梅崎(右)。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第7回は、湘南ベルマーレの司令塔・山田直輝だ。前編では、ここまでの全試合に出場しチームを牽引する心境の変化について明かしているが、後編ではさらに自身のサッカー観、心境の変化の根幹について深く掘り下げていく。

 湘南は7月17日、梅崎司の大分への完全移籍を発表した。山田にとって、2種登録として浦和のトップチームに帯同し始めた2008年から、浦和、湘南で苦楽を共にしてきた3歳年上のアタッカーの存在とは――。

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 梅さん(梅崎司)は浦和の時からずっと一緒にやっていて、正直あの人との思い出は、お互い怪我が多くてリハビリルームでのことがすごく多かった。当時、田中達也選手も怪我が多くて、よくその3人で浦和のリハビリルームでリハビリしていました。

 3人とも大怪我をしていて、最初に、(田中)達也さんが新潟に移籍して、そこでまた達也さんの姿を取り戻して活躍しているのを見て、大怪我してもちゃんと活躍できるんだなという姿を見せてもらった。

 その後、梅さんが浦和で試合に出て、湘南に移籍して、すごく活躍している姿を見て僕はいつも勇気をもらっていました。

 なんで、自分はなかなか思うようにいかないんだろうと思っていたところもありましたが、ずっと一緒にリハビリをしていた選手たちの背中を見て、勇気をもらって、サッカーをすることができていた。

 そんな梅さんは、僕にとってもすごく大切な存在。もちろん湘南にとってもすごく大切な存在だったと思う。

 そういう選手が抜ける穴というのはもちろん大きいですが、梅さんが僕に「すごく責任感が芽生えてきて、チームの中心となってやらなければいけないという気持ちが芽生えてきて、立派に見えてきたよ」と言ってくれました。

 梅さんにも「また活躍している姿を絶対に見せてください」と言葉をかけて、次はピッチで会えるようにと約束したので、梅さんがいなくなった湘南も変わらずに良いチームで、湘南らしく戦っていかないといけない。

 梅さんの存在は、ピッチ内だけでなく、地域の活動などピッチ外でも湘南の顔でした。僕は、そんな梅さんほど影響を与えられる選手ではないので、黙々と、というか、自分らしくできる事を全力で楽しんでやりたいなと思います。自分も湘南で名を刻まないといけないなと今は思っています。
 

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