「強いレッズに戻さないといけない」平川忠亮が引退試合で感じた、今の浦和が学ぶべきもの

2021年07月23日 サッカーダイジェスト編集部

「引退試合を開催するべきか非常に悩みましたが…」

2年越しで引退試合を開催。盟友の小野と。写真:徳原隆元

「学ぶべきものが今のレッズにもあるのかな」

 浦和駒場スタジアムでの引退試合を終えた平川忠亮は、幸せに包まれた空間と個性を爆発させた仲間たちとの時間を思い返し、そう話した。筑波大学から2002年に浦和レッズへ加入し、移籍することなく一筋で17年間プレーしてJ1通算336試合に出場。18年の引退後は、翌19年からコーチを務める。このたび、2年越しでの引退試合が7月22日に行われた。

 折しも社会情勢は新型コロナウイルスの影響を強く受けている。当初の思いは「浦和の街に育ててもらった恩返しをしたいということを考えたときに、駒場に2万人が入れば、行き帰りを含めて浦和の街が盛り上がって、浦和の街でみんなが飲食して、試合が終わった後もみんなで歩いて浦和駅前が盛り上がって、OB選手たちをつれて街を練り歩いてみんなで飲んで、というイメージをしながら引退試合の準備が始まりました」というものだった。しかし、今それをそのまま実行に移すのは難しかった。
 
 それでも試合後のセレモニーで話した「この引退試合を開催するべきかどうか非常に悩みました。そしてスタッフと議論を重ね、チャレンジしようと決めました。辛さや苦しさの中に、その先にある栄光や輝きを、このチームに僕は教えてもらいました」という思いが、現地では上限5000人としながら、オンラインでの配信コンテンツを充実させていくという運営につながった。

 果たして、駒場での1日は本当に温かいものだった。前半のピッチは、全体的にミハイロ・ペトロヴィッチ監督時代(12~17年)の選手が多く、ショートパスをつなぎながらサイドを大きく使う当時の面影があった。中盤では清水商業高からの親友でもある小野伸二(北海道コンサドーレ札幌)や、家族ぐるみの付き合いでもある柏木陽介(FC岐阜)が卓越したテクニックを見せつつ、引退試合となった平川をサイドで走らせた。

 一方で、後半は全体的に06年、07年の質実剛健なサッカーでタイトルを取ったメンバーが中心になり、対戦相手もジュニアユースを中心としたアカデミーの面々。それでも鈴木啓太や酒井友之が通ったらピンチになりそうな縦パスをカットして、速い攻撃につなげるという一面も垣間見せた。その中で、主役は前半にPKと左足シュート、後半にもPKを決めてハットトリックを達成していった。
 

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