「おい、司!一緒に大分に帰ろう」プロ17年目を迎えた梅崎司が多くのサポーターに愛される理由

2021年07月22日 佐藤亮太

勝敗に関係なく、浦和サポーターと埼スタで交わす年に一度の心の交流だ。 本

大分への移籍が決まった梅崎。これまで所属したクラブでは常に愛される存在だった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

「ただいま」「おかえりなさい」

 14年ぶりの復帰にふさわしい加入となった。

 今月20日、J1湘南から大分に完全移籍したMF梅崎司のオンライン会見が行なわれた。

 プロ17年目。思えば、梅崎ほど多くのサポーターに愛されている選手はそうはいない。そう感じられる光景を何度も目にした。

 湘南所属時の2019年5月12日。J1・11節のホーム大分戦。

 先発した梅崎は両チーム最多タイの4本のシュートを放ち、71分までプレーしたものの、結果は1-0の敗戦となった。

 試合後、梅崎はひとりアウェースタンドに向かった。

 この年、大分は6年ぶりのJ1での戦い。自身、古巣への感慨があっての挨拶だった。
 
 近づくと大分サポーターからこんな声が聞こえた。
「おい、司!一緒に飛行機に乗って大分に帰ろう!」
「関東はもういいだろ。一緒に帰ろう!」

 小さくうなずき、両腕を挙げ、その声に応えた梅崎。後日、聞くと、嬉しさでその瞬間、涙が出そうになったという。

 そして、今年6月20日。J1・18節のアウェー浦和戦。

 開幕直前、腰の故障で出遅れたものの、戦えるコンディションに高め、出場機会を得た。「浦和戦は特別なゲーム」と公言するように、梅崎は途中投入された4分後の87分、3点目となるDF岡本拓也のゴールをアシスト。見事なクロスだった。

 試合後、DF岡本、MF山田直輝の3人で埼スタを一周すると、浦和時代の背番号7のユニホームが掲げられ、温かい声援があった。

「おかえり、ウメちゃん」「また埼スタで」
 勝敗に関係なく、浦和サポーターと埼スタで交わす年に一度の心の交流だ。

「(サポーターに愛されていると)すごく感じています。自分の生き方を肯定してくれるというか……、やはりプロの世界なので、その時々で判断しなければなりませんし、僕も何度も経験しました。でも、そのたびに応援してくれるサポーターがいてくれて、メチャメチャ幸せです」

 果たして大分、浦和、湘南と、梅崎が多くのサポーターに愛される理由はなにか?
 

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