スペイン戦は4-4-2の最高のエクササイズに。東京五輪本番で必須なのは守備のメリハリだ!

2021年07月18日 清水英斗

スペインは最高の相手だった

吉田(左)や遠藤(右)らオーバーエイジの選手たちを中心に安定した守備も見せていた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 17日に行なわれたスペイン戦、日本の五輪代表は本番前に迎えた最後の強化試合を、1-1で引き分けた。

 ポゼッション率はスペインが65%、日本は35%。これほど一方的にボールを持たれる試合を、U-24日本代表はあまり経験して来なかった。体力的、精神的にどこまで持つのか、どの辺りからポジショニングが雑になるのか、戦術的に何が必要かなど、本番前にチェックできたのは大きい。

 また、劣勢のなかでも久保建英はチャンスを作り続け、堂安律もホンジュラス戦の2ゴールに続き、スペイン戦でもゴールを挙げた。これも重要だ。守備陣はただ耐えるだけではない。ゼロに抑えて行けば、前線は劣勢のなかでも点を取るクオリティを持っている。その自信を得たことは、守備に前向きなエネルギーを与えてくれるだろう。

 スペイン戦は、4-4-2のエクササイズとしても重要だった。ライン間や隙間を突くのに長けた相手に、どう立ち向かうのか。近年は5レーンを用いて横並びの4枚の隙間を突く、ポジショナルな戦術が流行しているが、日本も無防備ではいられない。特に欧州系、あるいはグループステージ2戦目で戦うメキシコのような戦術派と戦ううえでは、必須のエクササイズだ。
 
 4-4-2をどう連動させるか。日本はミッドフィルダー4枚が中に絞った。縦パスを通させないか、通されても、素早く囲むように守備をした。大外の対応はある程度サイドバックに任せ、外へ誘導できればOKとする。

 それでもスペインは、センターバックとアンカーが日本の第一プレスをあっさり外し、中、中へと、ばんばん縦パスを通してきた。この辺りはさすがだ。しかし、MFの間を狭くしていれば、かなり強い縦パスしか通らないので、時には相手のトラップも乱れる。そのコンマ数秒で取り囲めば、たとえインターセプトできなくても、再びボール奪取をねらう機会が訪れる。粘り強く、粘り強く。

 では実際そのために、どれくらいMFの間を狭くすればいいのか。この距離を図るうえで、スペインは最高の相手だった。
 

次ページ後半は守備のコンセンサスが無かったように感じる

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