ロンドン五輪3位の韓国を指導。池田誠剛フィジコが明かす五輪コンディショニングの肝とは?「今回は日本ほど優位な国はない」

2021年07月16日 元川悦子

アーセナルで出番がなかったパク・チュヨンには全体合宿前に個別に18日間の走り込みを行なった

現在は広島のフィジカルコーチを務める池田誠剛氏。12年のロンドン五輪で韓国の同コーチも務めた。写真:

 7月22日の東京五輪初戦・南アフリカ戦(東京)まで1週間強。森保一監督率いるU-24日本代表の強化は佳境を迎えている。12日にホンジュラス(大阪)を相手に3-1で勝利を収めた同代表は、17日にはスペイン(神戸)とのテストマッチを実施。チーム完成度を一気に高めていく構えだ。

「(自身が参戦した過去2大会を踏まえて)ひとつやらなければいけないのは、コンディショニングをしっかりいい状態に持っていくこと。コンディションが整っていれば、選手の実力もあると思うし、欠点も少ない。そこが一番のカギになるかなと思います」と五輪3度目の出場となるキャプテン・吉田麻也(サンプドリア)も強調する通り、金メダルを手に入れるには決勝までの6試合を見越した調整が必要になるのだ。

 そこで参考になるのが、2012年ロンドン五輪で銅メダルを獲得した韓国代表でフィジカルコーチを務めた池田誠剛氏(現広島フィジカルコーチ)の経験談だろう。池田氏はジェフユナイテッド千葉、横浜F・マリノス、浦和レッズなどで積み上げた経験を駆使してメダルという結果をもたらした。現在も登録人数が少ないサンフレッチェ広島で選手をやり繰りし、選手のパフォーマンス維持に努めている。
 
 その池田コーチがロンドン五輪に挑むに当たって最も重視したのは、選手個々のバラつきをなくすことだった。

「当時の韓国代表はパク・チュヨン(FCソウル)ら欧州組、キム・ボギョン(全北現代)らJリーグ組、オ・ジェソク(仁川)らKリーグ組の3グループで構成されていました。パク・チュヨンは当時所属のアーセナルでほとんど試合に出ておらず、JとKリーグ組は疲労が蓄積しているといった状況でした。

 18人のコンディションにバラつきがあると、90分通して安定感あるプレーができないし、アクシデントが起きた時にチーム力が一気に下がることもある。それを回避するため大会前は全員の状態を整えました。パク・チュヨンに関しては全体合宿前に個別に18日間の走り込みを行なったほど。個々のクラブでの試合出場や疲労度を勘案したアプローチが大切だと感じます」

 そのうえで、中2日の超過密日程の本大会に突入。韓国は7月26日にメキシコ、29日にスイス、8月1日にガボンと1次リーグを戦い、1勝2分の勝点5で2位通過した。この段階までは14時半キックオフなど日中の試合もあったが、最高気温が25度前後で湿度も低く、肉体的負担が比較的少なかったのは救いだった。
 

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