なでしこジャパンはメダルを獲得できるのか。“幸運な勝利”の裏で露呈した課題に感じた不安

2021年07月15日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

「最初はオーストラリアの勢いに後ろ向きになることが多かった」

周囲と連動できず、やむなく単独突破を仕掛ける場面が多かった長谷川。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

「これまで、なかなか思うような相手と試合が組めなかった」

 オーストラリア戦を前に、なでしこジャパンを率いる高倉麻子監督はそう本音をこぼした。

 4月と6月に組まれた4つの強化試合では、いずれも大量得点で圧勝。大会前に男子高校生と練習試合を組んだのも、強度の高いゲームをしていないという危機感からだろう。そういう意味では、五輪前最後の試合となったこのオーストラリア戦は、格好の相手と腕試しができる機会となった。

 左サイドバックで先発した宮川麻都が「最初は、オーストラリアの勢いに後ろ向きになることが多かった」と語ったように、序盤からスピードとパワーで上回る相手に押し込まれる展開が続く。4―4―2のなでしこに対し、オーストラリアは3-4-3だったため、ミスマッチが生じ、相手のウイングバックをフリーにしてしまい、簡単にクロスを上げられてしまう場面が散見された。

 熊谷紗希と南萌華のCBコンビが水際で防ぎ、また山下杏也加の対応も安定していたため、大事には至らなかったが、相手のクロス精度が高ければ、失点していてもおかしくなかった。

 右SBの清水梨紗が1対1で寄せ切れず、クロスを放り込まれたシーンもあったが、体格で劣る日本は、まずクロスを上げさせないことが重要だ。本番で対戦するカナダやイギリスもオーストラリアと同様にフィジカルが強いため、命とりになりかねない。

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 ミスマッチは、逆に日本にとっても利点があった。この試合から10番を背負ったエースの岩渕真奈がフリーになり、いい形でボールを受けられたのだ。だが、そこまでは良かったが、本人が「攻撃が淡泊だった。もう少しバリエーションを増やしていきたい」と振り返ったように、最後の30メートルでのアイデアと精度が不足していた。

 もちろん、これはひとりの責任ではなく、チーム全体の問題だ。合宿の疲れがあったのか、岩渕が「夜のわりに想像よりもキツかった」とこぼした暑さのせいなのか、やや全体的に身体が重い選手が多いように感じられた。

 なでしこらしい、複数人が連動する流れるような攻撃は皆無で、左サイドの長谷川唯が単独突破を試みては阻まれるシーンが象徴的だった。

 一方で、交代で入った選手たちは躍動感があり、とりわけ岩渕に代わって2トップの一角に入った遠藤純は、推進力のあるドリブルとパワフルな左足のシュートで小さくないインパクトを残した。このレフティが切り札としてベンチにいるのは心強いが、先発起用でも面白い。この日のパフォーマンスで、高倉監督も頭を悩ませるはずだ。

 ハンドで得たPKを岩渕が決め、結果的に1-0で勝利したものの、勝ったことで課題がうやむやになってはいけない。身体を張った守備で1点を守り切ったのは評価できるか、まだ修正すべきポイントは少なくない。メダル獲得が目標ならなおさらだ。

 このまま本番に突入して本当に大丈夫なのか。幸運な勝利よりも、露呈した課題に不安を感じた一戦だった。

 取材・文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部)

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