【関塚隆の目】前半は「出来過ぎ」。まるでクラブチームのような連動性だった【U-24日本】

2021年07月13日 サッカーダイジェスト編集部

コンセプトの浸透を感じさせた

堂安(左)は2得点。特にチームとして同じ画を共有できた1点目は素晴らしかった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 U-24日本代表はホンジュラス戦で3-1の勝利。10日後に開幕する東京五輪に向けて、非常に期待の膨らむ試合だったのではないだろうか。

 海外組が多いチームとあって、おそらくこの試合の主なテーマは、暑熱対策などのコンディショニング、そして1か月ぶりの公式戦で実戦感覚を取り戻すことのふたつだったように思う。

 その意味では、瀬古、旗手、三笘というACL組が合流できておらず、上田が負傷離脱していた状況だったにせよ、出場した選手にとっては良い調整の場となったはずだ。

 まず相手のホンジュラスについて言えば、前半はなかなかエンジンがかかっていない様子だったが、後半は迫力をもって仕掛けてきて、やはり本大会に出てくるだけの実力は証明した。途中から出てきた10番(リゴベルト・リバス)などは"本物"で、6月に戦ったガーナやジャマイカよりも一段上の印象を受けた。
 
 そんな相手に日本は、特に前半は「出来過ぎ」と言っていいほどのパフォーマンスを示した。判断スピードが速く、プレーは正確。蒸し暑い環境で素早いテンポの攻撃を何度も仕掛け続ける姿には、森保監督の下で進めてきたコンセプトの浸透を感じさせた。

 後方からのビルディングアップで数的優位を作り、幅を使いながらタイミングを見て相手の背後を突いて崩す。そうした連動した動きは、代表チームというより、まるでひとつのクラブチームのようだった。

 セットプレーのデザインが実った1点目も見逃せないが、2点目はとりわけ素晴らしかった。縦パスをインターセプトした冨安を起点に左サイドを崩すと、三好のスルーや林のポストなどで相手をかく乱し、最後は堂安が右足で決めたシーンだ。上背のあるディフェンダー陣に対して、選手たちが地上戦で同じ画を共有できていたはずだ。

 どの選手もモチベーション高く意欲的に臨んでいたのも好印象だった。もともとバックアップメンバーという位置づけだったフォワードの林は、無得点ながら相手の嫌がるプレーをし続けて、巡ってきたチャンスでアピールしていた。
 

次ページ後半は課題も浮き彫りになった

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