ブラジル対アルゼンチンのライバル対決、ネイマール対メッシの実現で“空気が変わった”コパ・アメリカ【現地発】

2021年07月10日 リカルド・セティオン

すでに650人もの感染者が…

南米王者のタイトルを懸けて激突するネイマール(左)とメッシ。(C)Getty Images

 アルゼンチンのGKエメリア―ノ・マルティネスが、コロンビアの5人目のPKを止めた瞬間、コパ・アメリカを取り巻く空気が明らかに変わった。

 それまで、このコロナ禍で強行されたコパ・アメリカのことを、ブラジルの人々はかなり冷ややかに見ていた。セレソンも好調に勝ち進み、ネイマールも、そしてリオネル・メッシもさすがのプレーを見せていたが、どちらかというと関心は別のところにあった。

 選手、チームスタッフ、大会関係者の間ですでに650人もの感染者が出ている、それなのに南米サッカー連盟(Conmebol)は決勝に観客を入れようとしている、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長が決勝にわざわざやってくる……。 

 しかし、決勝のカードはブラジル対アルゼンチンになった。それも舞台はサッカーの殿堂マラカナン。これがブラジル人のサッカー魂に火をつけたようだ。(良いか悪いかは別として)やっとコパ・アメリカと呼ぶにふさわしい空気が漂って来た。

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 ブラジルとアルゼンチンのライバル関係は、たぶん世界で激しい思う。ただアルゼンチン対イングランドが、よりシリアスで戦争に近いのに対して、この2つの対決は、プライドと名誉をかけた決闘という感が強い。

 だから、ブラジル人にとってアルゼンチンを応援することなど死罪にも等しい。例えば2014年ワールカップ決勝、アルゼンチン対ドイツ戦で、ブラジルのサポーターは後者を応援した。これにはアルゼンチン・メディアもかなり驚いたようだ。

「自分たちを1-7という屈辱的なスコアで破ったチームを、なんでブラジル人は応援できるんだ? 全く理解できない」

 コパ・アメリカの歴史の中でブラジルとアルゼンチンはこれまで33回対戦している。結果はアルゼンチンが15勝、ブラジルが10勝、引き分けが8回。しかしアルゼンチンが最後に勝利したのは1983年のグループステージにまで遡る。

 一方、ブラジルとアルゼンチンが国際大会の決勝で対戦したことは過去に5回ある。1937年のコパ・アメリカ決勝をのぞけば、あとの4回はすべて2000年代。コパ・アメリカで2回、コンフェデレーションズカップで一度対戦している。最後に対戦したのは2007のコパ・アメリカだ。ちなみに5回の内訳はアルゼンチンが1勝、ブラジルが4勝だ。

 コパ・アメリカのタイトルの数では、アルゼンチンが14回とブラジルの9回を大きく上回っている。ただブラジルはW杯を5度制しているが、アルゼンチンは2回だけだ。

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