トゥヘルのCL制覇で、解任を咎められたパリSGのレオナルドSD。監督や選手と次々に対立、失策続きで立場が危うく…

2021年07月09日 リカルド・セティオン

「賢明なSDであればこんなことはしない」

トゥヘル(右端)の解任に端を発し、立場が危うくなっているレオナルドSD(左)。(C)Getty Images

 チェルシーがビッグイヤーを天に掲げた時、パリ・サンジェルマンのサポーターは怒りの声をあげた。なぜなら彼らをヨーロッパの頂点に導いたのは、ほんの数か月前までパリSGを率いていたトーマス・トゥヘルだったからだ。

 一方、トゥヘルを失ったパリSGは、チャンピオンズ・リーグ(CL)は準決勝でマンチェスター・シティに敗れ、リーグ・アンでも1ポイント差で優勝をさらわれた。それも相手は、リヨンやマルセイユといった名門ではなく、リールである。フランス・カップだけはどうにか手に入れることができたが、世界で一、二を争う金満チームとしては納得できない結果である。

 その怒りの矛先は、そのままSDのレオナルドへと向かった。なぜならトゥヘルは彼のせいで出て行ったからだ。

 事の発端は昨シーズンにチアゴ・シウバの契約が更新されなかったことまで遡る。トゥヘルにとって彼は、なくてはならない守備の要だったが、チームは「チアゴ・シウバは35歳、年齢が上すぎる。もっと若いディフェンダーが欲しい」と契約更新を拒否。この方針に不満を持ったトゥヘルは、公の場でこう発言した。

「彼は私のチームの柱のひとりでありキャプテンでもある。だからチームに契約を更新してくれと依頼したのに、ノーと答えた」

 この発言がレオナルドの逆鱗に触れた。選手の獲得・放出はレオナルドが責任者であり、トゥヘルに公の場で批判されたのも同然だったからだ。

 トゥヘルの方もこれ以降、レオナルドにまったく忖度をしなくなった。負ければT・シウバがチェルシーに行ってしまったからだと嘆き、トマ・ムニエやエディンソン・カバーニも手放し、パリSGは弱くなってしまったと繰り返した。
 
 レオナルドは完全に頭にきて、かくして全面戦争が始まった。トゥヘルが「レオナルドは大きな過ちをした。賢明なSDであればこんなことはしない」と記者に話せば、レオナルドはこう応酬した。

「トゥヘルが言ったことは理解できないし、気に入らない。チームとしても大変に遺憾だ。何か罰則を科す必要がある。不満があれば話し合いをすればいい。それをするには何の問題もない。ただし自分もこのクラブの一員であるならば、チームや幹部の決定をリスペクトするべきだ」

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