「我々はハラを追っていた」アラベスはなぜ原大智を獲得したのか? イストラ同僚も驚いたポテンシャル【現地発】

2021年07月08日 ファン・L・クデイロ

「大きなポテンシャルを持った若者」とSDも太鼓判

アラベスと23年6月までの契約を交わした原(左)。※写真はNKイストラ時代。(C)Getty Images

 タイチ・ハラ(原大智)のアラベス入団の報は、地元ビトリアで驚きと期待を持って受け止められた。

 アラベスは2016年夏に昇格して以来、21-22シーズンで、6シーズン連続で1部を戦う。これはクラブ史上最長の記録だ。

 昨シーズンは序盤から苦戦を強いられ、2度の監督交代を経て、最後のラストスパートにモノをいわせ滑り込みで残留を果たした。そのチームの屋台骨を背負ってきたのが過去2シーズン、ラ・リーガにおけるチーム総得点70のうちの37得点を叩き出したホセルとルーカス・ペレスのFWコンビだ。

 もっとも、それは2人に対する依存度の高さの裏返しでもあり、前線の強化は今夏の重要ポイントだった。そこで白羽の矢が立てられたのがNKイストラに在籍していたハラだった。

【画像】アラベス公式が投稿!青白のユニホーム姿の原大智
 とはいえ目立った活躍を見せていたと言っても、しょせんはクロアチアの中堅クラブでの話だ。今回のオペレーションの背景には、アラベスを経営するバスコニア=アラベス・グループが株式の85パーセントを取得してイストラの所有者になった3年前の買収劇がある。近年は両クラブの間で選手が頻繁に行き来しており、ハラも今年2月にイストラに加入して以来、アラベスのレーダーに捉えられていた。

 入団したと言っても、それがすなわちハラが新シーズン、アラベスでプレーすると決定したわけではない。先日、ラ・リーガの21-22シーズンの日程が発表され、アラベスは開幕節でレアル・マドリーとのホームゲームを戦うことが決まったが、その時にハラがチームの一員であり続けているかどうかは現時点では不透明だ。去就問題が宙に浮いたままその一戦を迎える可能性もある。

 クラブのSD(スポーツディレクター)のセルヒオ・フェルナンデスはこう明言する。

「われわれはハラを追っていた。大きなポテンシャルを持った若者だと考えた。プレシーズンに帯同させ、そこでプレーを見て、現在のレベルをチェックしたい。ハビエル・カジェハ監督が最終的に判断することになる」

 ハラにとって心強いのは、セルヒオ・フェルナンデスがイストラでの活躍を高く評価している点だ。公式戦18試合に出場し8得点をマーク。チャンピオンズ・リーグの常連である強豪、ディナモ・ザグレブとの顔合わせとなったクロアチアカップでの決勝(ディナモが6-3で勝利)では2得点を奪っている。
 

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