来季浦和内定の流経大DF宮本優太が明かす2つの転機――高3夏の厳しい現実と曺貴裁コーチの金言

2021年06月29日 安藤隆人

人生の正念場だと思って臨んだ高3のインターハイで…

デンソーカップでは関東選抜Aのキャプテンとしてチームを優勝に導いた。写真:安藤隆人

 流通経済大の副キャプテンであり、来季の浦和レッズ入りが内定しているDF宮本優太。

 高校時代は的確な状況判断能力と豊富な運動量を駆使したセカンドボールの回収や球際の強さが魅力のボランチだったが、大学2年の夏に右サイドバックにコンバート。そこからさらに能力を開花させ、高いアップダウン能力と磨き上げた状況判断を駆使して、的確な攻撃参加とビルドアップ、攻撃のリズムを作るパスなど、ボランチとサイドバックの能力を併せ持ったユーティリティとしてプロ注目の存在となった。

 昨年11月、早くも浦和内定を発表。そこには不安に襲われながらも、目標を失わず、2つのターニングポイントを経て自己研鑽を続けてきた彼の覚悟があった。

 6月下旬、彼に単独インタビューを試みた。そこで彼が口にしたのは、自身のサッカー人生における2つのターニングポイントについてだった。

 1つ目は高校3年生の時の宮城インターハイ。流通経済大柏高のキャプテンだった宮本は、抜群の統率力を駆使してチームを牽引し、2度目のインターハイ制覇を手にした。これだけを見ると、ポジティブなターニングポイントに映るかもしれない。もちろん、今となってはポジティブに捉えられるが、当時の彼にとってはあまりにも厳しすぎる現実であり、人生の岐路の1つであった。

 時はインターハイ前に遡る。高1から出番を掴み、高2から不動のレギュラーとなった彼はプロからの誘いを今か今かと待っていた。

「付属(流通経済大柏)で2年から出ているとなれば注目もされるだろうし、何かしらの声がかかるのではと思っていた」が、待てど暮らせど練習参加の打診すらもない状況が続き、季節は7月になった。
「本田先生(本田裕一郎前監督)とエノさん(榎本雅大・現監督)とも相談をして、インターハイ後に何も来なかったら流大に進むことを決めました。僕の中では高卒プロは1つの目標で、1年から出ている以上、絶対に達成しないといけないと思っていました。なのでインターハイは人生の正念場だと思って臨みました」

 3回戦の市立長野戦。相手には湘南ベルマーレ入りが内定していたMF新井光(現・ガイナーレ鳥取)がいた。そこで彼は「新井選手のマンマークをさせてください」と本田前監督に直訴をした。
「自分がJに内定している新井選手を抑えたら、チームは絶対に勝てるし、個人的にもプロに目をかけてもらえるかもしれない」

 気迫十分で臨んだ試合は、宣言通り新井を封じ込めて5-0の完勝に貢献。これで大きな手応えを掴んだはずだった。だが、準々決勝の長崎総科大附戦で大きな疑念が生まれた。

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