ボール支配率1位対2位、プロ分析官が注目の『徳島vs横浜』を徹底展望! 見どころは“バックパス”の使い方

2021年06月27日 サッカーダイジェストWeb編集部

中3日の“連戦”でもスタメンは疲労を考慮せず起用か

杉崎氏が予想した「徳島ヴォルティス対横浜F・マリノス」のフォーメーション。

 ボール支配率ではリーグ2位につける昇格組の14位・徳島ヴォルティスが、ホームに支配率トップで、リーグ2位に浮上した横浜F・マリノスを迎える一戦。

『サッカーダイジェストWeb』では、Jリーグの各クラブでスカウティング担当を歴任し、2019年には横浜でチームや対戦相手を分析するアナリストとして、リーグ優勝にも貢献した杉崎健氏に、19節・徳島対横浜の勝負のポイントを伺った。

 確かな分析眼を持つプロアナリストは、目指すべきスタイルが確立されている両チームの対戦をどう見るのか。予想布陣の解説とともに、試合展開を4つの状況に分け、それぞれの見どころを語ってもらった。

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●徳島ヴォルティス
今季成績(19節終了時):14位 勝点19 5勝4分10敗 16得点・24失点

●横浜F・マリノス
今季成績(19節終了時※17試合消化):2位 勝点37 11勝4分2敗 34得点・15失点

【予想布陣解説】
 両チーム水曜日の試合を終え中3日ですが、次節は翌週末なので、疲労感もあまり影響がなく大幅なメンバー変更は行なわないと予想します。

 そのなかで、徳島で変更点がありそうなのは2列目の人選。前節のFC東京戦では監督のコメントでも明かしていましたが、相手右サイドを攻略する目的で、今季初めて宮代大聖選手を左サイドで起用しました。しかし、前半は機能していたとは言い難く、後半開始時からポジションをトップ下に変更しています。

 また、左右のサイドプレーヤーの人選で、小西雄大選手も杉森考起選手もどちらかと言うと足もとにボールを収めて仕掛けるタイプ。裏をとるタイプの選手ではないので、それをどう考えるか。

 FC東京戦でもダニエル・ポヤトス監督は相手のウィークポイントを突く傭兵を選ぶイメージもあり、対戦相手の横浜のディフェンスラインをどう読むかによっても人選に変更がありそうです。場合によっては、宮代選手を右サイドに持ってきて、トップ下に渡井理己選手という可能性もあるかなと思います。
 
 一方の横浜は、水曜日の鳥栖戦と同じメンバーを予想。左SBのティーラトン選手がルヴァンカップの札幌戦ウォーミングアップ中に負傷したということもあり、前節はメンバー外に。その鳥栖戦で先発し、87分にゴールを決めている和田拓也選手を再び起用すると予想しました。同ポジションには、高野遼選手を起用する案もあるでしょうし、小池龍太選手を右から回してきて松原健選手を右SBで起用するアイディアもあると思います。ただ、松原選手は前節メンバー外だったので、負傷等がなければの話ですが。

 ボランチでは、前節同様の扇原貴宏選手なのか、喜田拓也選手を起用するのか。もうひとつは、エウベル選手のところ。前節の交代直前に削られているシーンもあって、出場しなかった仲川輝人選手がスタメンという可能性もあり得そうです。

 この試合の見どころとして、‟バックパス"を挙げたいと思います。

 ボール支配率で1位(横浜)対2位(徳島)なので、どちらがボールを握るかというシンプルな話だけではなく、どうやって相手のポゼッションを塞ぐか、ボールを奪えるかということがテーマのひとつになります。

 お互いに、いつ縦パスを入れるか。相手にボールを渡してしまうとなかなかマイボールに帰ってこない可能性もあるなかで、自分たちがボールを持った時に前に出す選択もひとつですが、バックパスで自分たちの時間を作るということも必要になってくる。

 バックパスという文字だけ見てしまうとネガティブな要素もありますが、この両チームに関して言えば、自分たちのボールにするということを含め、意図のあるバックパスが多いのも特長です。

 その意図というのは、自分たちがボールを握るということプラス、相手を釣り出すという意味です。自分たちの時間を作り、プラス相手を引き連れるというところがどれだけできるか。それが上手くいくと、いわゆる自分たちのやりたい、間につけるとか、縦に入れるという部分が出来てくると思います。
 

次ページ徳島の自陣からの攻撃vs横浜の敵陣での守備

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