8戦未勝利の柏に希望はあるのか? 苦境打破には抜本的改革が必要だ

2021年06月24日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

相手の長所を消し、短所を突く戦い方にもう希望はないと思う

浦和に敗れ、肩を落とす柏の選手たち。8戦未勝利で表情も暗い。写真:田中研治

 0-2で敗れた浦和戦後、オンライン会見に登壇した瀬川祐輔と戸嶋祥郎が「戦術どうこうよりも」と口を揃え、運動量やプレー強度を課題に挙げた。

 瀬川によると、試合前にはネルシーニョ監督からも「戦術よりもまずは目の前の相手に負けない、戦う」という話があったという。それでも、前半の給水タイム後から浦和にプレッシングを剥がされるようになり、猛攻を受けて足が止まるようになると、終盤の2失点で万事休した。

 苦しい状況を打破しようと、よく走り、球際を戦う意識が垣間見える選手は何人かいる。浦和戦ならヒシャルジソンらが該当するだろう。ただ、個々の奮闘が組織としての連動につながらず、バラバラな守備のため容易に穴を突かれて失点。肩を落として失速したところでまた畳みかけられる。このチーム状況は、中断前最後のゲーム、札幌戦(●1-2)から変わっていなかった。

 17節の札幌戦(5月29日)から18節の広島戦(●0-1/6月19日)までの3週間の間、いったい何を取り組んだのだろうか? そして中断明け最初のホームマッチ、浦和戦で巻き返しへの気概をどう見せたかったのだろう? 広島戦と浦和戦をチェックしただけでは読み取れなかったので、瀬川に「中断期間に取り組んだことで、中断明けのホームでサポーターに見せられたことは?」と聞いた。

「相手の強みを消すサッカーが今のレイソルのベース。中断期間に取り組んだというよりは、常に次の試合に向けて準備してきた。今日に関しては、攻撃は相手の背後を狙った」

 チームスタイルは変わっていないようだ。浦和戦後には指揮官も「我々がいま取り組んでいることに真摯に取り組むしかない、続けてやっていくしかないと選手たち話した」と言っていたから、試合への臨み方は不変なのだろう。
 
 しかし、相手の長所を消し、短所を突く戦い方にもう希望はないと思う。今までは、敵が嫌がるスペースを突くフィジカル・モンスターと、ゲームの流れに応じて的確な戦術的判断を下す10番がいたから、戦術が成立していた。両者がピッチ上にいない今、守備から攻撃へつなぐ司令塔役を誰も担えず、FWもフィニッシュまでほぼ完結させられていない。

 ネルシーニョ監督は「良い守備から良い攻撃へ」とよく言う。「良い守備=相手の長所を消す」、「良い攻撃=敵の短所を突く」だと思うが、守→攻へつなぐ中継役と、シュートまで持ち込むストライカーがいないなかでは、上手くいくはずもないだろう。そして守勢に回る時間が長ければ、守備陣もさすがに耐えきれない。

 それでも戦い方を変えず、勝てなくても指揮官は「やり続けるだけ」と不変の姿勢を貫く。でもやっぱり結果がついてこない。今季2度目の4連敗で8戦未勝利となり、「みんなが迷いながらサッカーをしていると感じている」と吐露する選手も出てきた。「迷い」は最大の大敵で、意識ではどんなに頑張ろうと思っていても、頭の中で何をすればいいかハッキリしていなければ、さすがに足を上手く動かしにくい。

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