16歳の堂安律に衝撃を与えた韓国のエース。「無力さを感じた」痛恨の敗戦から磨き続けた個の力【五輪代表エピソード】

2021年06月23日 安藤隆人

韓国に閉ざされた世界への扉。相手のエース、イ・スンウの個人技を目の当たりにして…

2014年のU-16アジア選手権に出場した堂安。準々決勝で韓国に屈し、世界への扉を閉ざされた。写真:安藤隆人

 堂安律を語る上で忘れられないのが、彼が16歳の時にその舞台に立った2014年のU-16アジア選手権だ。タイのバンコクで行なわれたこの大会で、堂安律は左サイドバックとして出場するも、U-17ワールドカップ(W杯)出場権をかけた準々決勝の韓国戦に0-2で破れ、4大会連続で続いていたU-17W杯の切符を逃した。

 日本はDF冨安健洋、MF田中碧、渡辺皓太らを擁したが、韓国戦では相手のエース、イ・スンウ(現・シント=トロイデン)の個人技に切り裂かれる形で2失点。この敗戦は16歳の少年の心に大きな衝撃を残した。

「その映像が今もたまに流れますが、本当に悔しいし、自分の無力さを感じた。あのシーンは本当に忘れられないし、当時の自分を振り返ると日本を代表する覚悟が足りなかったなと思いますね。でも、あの経験があったからこそ、人一倍世界を意識するようになった。早く僕も海外に行って、同年代の選手には誰にも負けたくないと強く思うようになった」
 
 この敗戦によって、彼は日本代表という肩書きが持つ意味を知った。生半可な気持ちでブルーのユニホームを着てはいけない。そこには年齢も一切関係ない。敗戦から3年後の2017年のU-20W杯、彼はU-20日本代表の主軸として、再び日本代表のユニホームを着て韓国の地に立った。

「やっぱり世界で戦うには組織力も大事だけど、個の力も絶対に必要。あの時のイ・スンウのように一人でチームを勝たせてしまう存在になりたいし、周りから『あいつに渡せばなんとかなる』という能力を高めたい」
 

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