【なでしこジャパン】格下相手の失点はむしろポジティブ…兜の緒を締めよ

2021年06月14日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

メキシコは明らかな格下だったはずだが…

攻撃を牽引した岩渕。1ゴール・2アシストと大車輪の活躍だった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 なでしこジャパンは6月13日、メキシコ代表に5-1で勝利。7月の五輪本大会に向けて弾みのつく結果を掴んだ。

 攻撃では前半に攻めあぐねるシーンが少なくなかったものの、終わってみれば5得点。岩渕真奈の先制ゴールをはじめ、後半には田中美南、籾木結花、木下桃香、遠藤純が追加点を重ねた。

 とりわけ岩渕は別格の存在感だった。素早い動き出しでパスを受けると、ドリブルとスルーパスを巧みに使い分けて攻撃を牽引。36分に決めたドリブルシュートも見事で、結果的に3ゴールに絡む、まさに大車輪の活躍だった。

 ただし4点差というスコアほどの余裕はなく苦戦を強いられた試合だった。立ち上がりからメキシコのスピードとフィジカルに面食らい、ハイプレスの餌食になった。

 28分にはディフェンスリーダーの熊谷紗希がパスを奪われると、そのまま振り切られて、あわやというピンチを迎える。さらに49分には同じように南萌華が自陣でボールをかっさらわれて失点。ビルドアップと対人に課題を抱えたまま、結局、後半途中に相手の運動量が落ちるまで修正し切れなかった。
 
 FIFAランク28位(21年4月発表時点)のメキシコは、北中米カリブ海予選の準決勝でアメリカに0-4で敗れ、東京五輪出場を逃している相手だった。FIFAランク11位の日本からすれば明らかな格下だったはずだが、予想以上に苦しんだ印象だ。

 高倉麻子監督は試合後に勝ち切ったことを評価しつつも、以下のように振り返っている。

「今までよりも非常にコンディションが良い相手とゲームをやるなかで、相手の1歩目の力強さであったり、身体の厚みだったりを含めて、やはり日本人には小柄な選手が多く、局面局面での自分たちのマイナスを確認できました。また、それを出さないために、より一層チームとして細かな部分を、特に守備のところでは確認したいと思います」

 日本がストレスを抱えてきたことは、メキシコ代表のモニカ・ベルガラ監督の「長い時間において日本に少し気難しい試合展開を提供することができたのではないか」というコメントからも分かる。
 

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