優勝候補フランスの”黄金のトライアングル”がいきなり躓き? 負傷のベンゼマがドイツとの初戦出場に暗雲【現地発】

2021年06月11日 結城麻里

ファンが夢見たトリオが実現も…

5年半ぶりに代表に復帰したベンゼマ。しかしブルガリア戦で負傷し、EURO初戦へ間に合うのか疑問視されている。(C)Getty Images

 フランス代表のブルーの空に、一点の雲が出現している。

 6月11日に開幕するEURO2020に向け、フランス代表はウェールズ戦(3-0)とブルガリア戦(3-0)のテストマッチをこなしたが、華々しく代表に復活したカリム・ベンゼマが、8日のブルガリア戦で早くもケガしてしまったからだ。

 今のところ軽症とみられ、ディディエ・デシャン監督も「打撲だよ。随分当たって、(筋肉が)固まってきたと感じたようだ。リスクを冒すこともないしね」と報告。直ちにきついテーピングと冷却処置をしたスタッフも、「重大なことは何もない」と楽観的だった。

 打撲の場合、2日間は完全に活動を停止し、次いで部位をごとに試しながら徐々にトレーニングメニューを再開する。ただ、フランス代表の初戦は15日のドイツ戦。2日間の休養をとると、残されたトレーニング期間はたった4日間しかない。

 このため、肝心のドイツ戦に出場できるのかどうか、出場できてもトップコンディションに戻せるのかどうかなどをめぐり、フランスの人々は暗い雲の出現を目にしているところだ。

 5月18日に発表されたベンゼマの復帰で、フランス代表には「トリアングル・ドール(黄金のトライアングル)」、「トリオ・マジック(魔法のトリオ)」などと呼ばれる攻撃陣の呼び名が登場。"カリム・ベンゼマ&キリアン・エムバペ&アントワーヌ・グリエーズマン"の豪華トリデンテの結成で、フランス中のファンが大きな夢を見始めた。
 
 そして、ウェールズ戦では待望のトリオがデビュー。ベンゼマはノーゴールに終わったが、エムバペとグリエーズマンのゴールが炸裂した。行動面でも、グリエーズマンがベンゼマにPKをプレゼントしたのをはじめ(ベンゼマは外してしまったが)、みながゴールさせようと懸命に気遣いを働かせて、ベンゼマ本人もいい動きで貢献。トリオの連係完成に期待が膨らんだ。

 続くブルガリア戦は、この攻撃トリオのオートマティズム向上を狙いつつも、4-4-2の中盤ダイヤモンドの陣形をテスト(ベンゼマとエムバペの2トップ+グリエーズマンのトップ下)。「穴」になりやすい守備面をしっかり錬る意図があったとみられる。

 フランス代表は、このテストも無事にクリア。中盤にはチャンピオンズ・リーグ(CL)覇者で、ファイナルのMVPに輝いたエヌゴロ・カンテが頼もしい存在感を発揮し、ポール・ポグバも凄まじい働きぶりで存在感を示した(『L’EQUIPE』紙最高採点)。また両サイドバックも崩れず、「疲れ気味」と言われていたラファエル・ヴァランヌも、エレガントかつ強靭な守りを披露した。
 

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